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ライク・ア・ローリング・ドッグ  作者: 来城
水曜日
5/22

2-3 瀬田

 西通りの駐車場殺人事件から2日後――そう離れていない大通りで男が殺されたという通報が入った。

 今回は西通りと違って銃声が聞こえた後に、青いスポーツカーに乗った2人の男女の姿が目撃されている。

 目撃証言から推測すると、片方は全国的に指名手配されている三棟翔太に間違いないだろう。


 しかし、もう一人の少女は一体何者なんだ?


 青少年犯罪特別捜査官である瀬田は、現場を見ながら眉を寄せた。


「……瀬田さん」

「あ?」


 呼ばれて振り返ると、ひょろひょろと上背ばかりあって、頼りになりそうにない部下の石田が困ったような表情で立っている。

 捜査官の癖に死体が怖いときたもんだ。死体から離れたところで瀬田が来るのを待っている。

 チッと舌打ちをして、瀬田は石田の傍へ向かう。


「なんだよ?」


 つい口調がきつくなる。石田は萎縮したように「すいません」と頭を下げた。


「……で?」


 瀬田は軽くため息をついて石田に話を促す。


「あ、実はですね、この近くで捜索願が出されてるんですよ」

「…………だから?」


 なんとなく石田が言わんとすることは察したが、念のため聞いてみる。


「署長が、ついでに探しといてくれって」


 案の定だ。ここまで予想通りだと怒る気もなくなる。

 犯罪率があがるにつれ人手不足が顕著になっているため、こういったことはよくあった。

 石田のような、およそ刑事に向いていない人材が、刑事になれているのもそのせいだ。


「そっちはお前に任せる」

「えっ!?」


 石田の不満の声が挙がる。


「自分は刑事ですよ。人探しは他の課の仕事です」

「文句があるなら署長に言え」

「で、ですが」

「だいたい、死体も直視できないくせになにが刑事だ」


 瀬田は嫌味たっぷりに言う。石田が「うっ」と口ごもった。


「おら、お前はさっさと届けだされてる奴探しに行け」


 瀬田は石田をシッシと手で追い払う。


「……瀬田さんはなにするんすか?」

「検屍に付き合う」


 答えると石田がサーッと顔を青くした。そして


「そ、それじゃ、いってきます」


 逃げるようにその場から走り去る。

 そこまで死体が苦手か、瀬田は石田の背中を見やり頭をかいた。

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