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6-2 瀬田
「よしっ!」
瀬田は叫んだ。その声に隣にいた石田がビクッと反応する。
「ど、ど、どうしたんすか?」
「今、樫井奈緒らしき少女を見かけたってたれ込みがあったぞ」
瀬田はかなりのハイテンションで石田の疑問の声に答える。
石田が眉を寄せた。
「一人、ですか?」
「みたいだな」
石田は三棟翔太の所在を気にしているのだろう。
だが、今はそんなことどうでもいい。まずは樫井から終わらせる。
瀬田はまだなにか言いたそうな石田を無視して地図を開く。
「今、奴はここを歩いている。どうすればいいか分かるか?」
「……この道は一本道ですし、ここから出てくるところに待機していれば、簡単に捉えられるんじゃないでしょうか?」
生真面目な顔で石田が地図に赤丸をつける。
「合格だ」
瀬田は頷き、腰のホルスターに収めていた銃の安全装置をはずす。石田がギョッとしたように瀬田を見やった。
「なに驚いてやがる? 相手は凶悪犯だぞ、抵抗したら即射殺、分かったか?」
「で、ですけど」
「ぐだぐだ言ってんじゃねー」
「は、はいっ」
瀬田の一喝に、石田は怯えたように頷いた。