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ライク・ア・ローリング・ドッグ  作者: 来城
土曜日
15/22

5-1 ナオ

――――――――


この時が永遠に続くなんて

思っちゃいないよ。


どうせ終わるなら、楽しく

それが私たちのモットーなんだから


――――――――

 翌朝、ショータからまともにダイヤ強奪の話を聞いたナオは上機嫌に口笛を吹いていた。


「楽しそうだね」


 カエデが声をかける。


「楽しいもん」


 ナオは笑う。

 奥のテーブルでは、ヒカリが大富豪の家の地図を描いてくれていた。ショータは熱心にそれを見ている。ナオが一緒にご飯を食べようと名前を呼んでも二人ともこちらに意識を向けさえしない。

 ナオはカエデに肩をすくめて見せ、先にキッチンでご飯を食べることにした。



「あんたたちさ、なに考えてんの、マジで」


 食事を始めるなり、カエデがナオを見つめて言う。


「あはっ、なに? いきなり」

「だってさ、今回のヤマは、あんたたちにはまったくメリットないじゃん」

「うーん、私たちは、楽しければそれでいいんだよ」


 ナオはそうカエデにウィンクしてみせる。


「ふーん」


 ゆで卵の殻をむきつつカエデが腑に落ちない顔をしながら相づちを打つ。


「……ところで、2人ってどんな関係なの? あまり詳しく聞いてないんだけど」


 カエデが話を変える。その質問にナオは、少し難しい顔になった。


 ――私とショータの関係? なんだろう?


 無関係と言えば無関係だ。だけど、それ以上のなにかがある。そう感じる。そのなにかはよく分からない。そんなことナオは今まで考えたこともなかった。ただ一つ分かるのは――


「ショータは私を退屈な世界からこっちまで連れてってくれた。似てるんだよ、きっと。どっかで繋がってる気がする」


 ナオはそう答えた。カエデはなんとも言い難い表情をしたまま相槌を打つと


「……もし、ダイヤ上手くいったら一緒に逃げない?」

「んー、どうかな? 考えとくよ」


 ナオは、いつものカエデの真似をしてクールに返した。



「できたーっ!!」


 奥からヒカリの声が聞こえる。ショータが2人のいるキッチンまで来る足音もする。

 すぐにキッチンに顔を出したショータはナオを見つめながら「おい、行くぞ」と顎で外を示す。

 いつもの口調だ。これから自分たちが行うことに対して少しも緊張した様子はない。


「うんっ」


 ナオは、勢いよく立ち上がった。



 ダイヤを奪って落ち合う場所は、スーパーの駐車場。人知れず、さり気なく集まるにはそういう場所がいいらしい。

 ヒカリと握手をして送り出される。彼女は、今までにもまして感情を隠したような顔をしていた。逆にカエデの方は、滅多に見せないらしい笑顔でナオを抱き締めると「無事、帰ってきなよ」と、ナオの耳元で囁いた。


 なんか家族みたい――と、ナオは思った。

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