ドッキリ
ゴッという鈍い音と頭をぶつけた
「痛ってぇ」
落ち着いて息を吸い冷静に考えた。
今目の前にいる友人にドッキリを仕掛けてみよう。
「大丈夫か?」
「えっと…どちら様ですか?」
ベタだありきたりな記憶喪失ドッキリだ
「は?お前嘘つくなよ」
笑いながら言う彼に真面目な顔で
「ここはどこなんですか?ちょっと今の状況が分からなくて」
話している途中で笑いそうになってしまったがここは耐えた
「え?マジなの?やばいじゃん」
馬鹿である。
思っていた以上にこいつは馬鹿だったようだ。
こんなありきたりなドッキリに引っかかっている。
「じゃあ俺の貸した3万のことも忘れたのか?」
嘘である。
俺がこいつに金を借りるわけが無い。
「今日はお前が借りた3万を手渡しで返すために集まったんじゃん」
嘘である。
今日はこいつに貸した1万円分焼肉を奢ってくれるという予定で集まっている。
これ以上嘘をつくなら種明かしをしよう。
「しかも俺の車を傷つけたから、その分の修理代も出してくれるって言ってたじゃん」
ガチである。
実際にこいつの車を酔った勢いで凹ませてしまった。その修理代のお金も今日一緒に精算しようとしていた。
「ごめん何も覚えてなくて」
嘘である。
車の凹みの修理代の相場は大体4万から5万、つまり修理代の方が高い。このまま覚えてないふりをしていた方が安く済む。
「まぁそういう嘘はいいから、普通に差額の3万分だけ焼肉奢ってくれよ」
「はい」