第10話:重大告知
[学校・昼休み]
クラスのざわめきの中、俺の隣で弁当を広げる唯一の友人・蓮が口を開いた。
蓮:「なあ優真、昨日の配信見たか? イザナって新人Vtuber、マジでバズってんぞ」
箸を止めて思わず固まる俺。
(あ、俺のことやん…! てかよりによって唯一の友達に言われるとか…!)
優真:「あ、あぁ……まあ、すごいよな……」
変に声が裏返って、慌てて水筒を口に運ぶ。
そんな俺を見て、蓮はニヤッと笑った。
蓮:「なんでお前が照れてんだよ。推しにでも似てんのか?」
優真:「いやいや! そんなんじゃねぇし!」
ごまかすように弁当を口いっぱいに詰め込んだ。
(あっぶね…危うく気づかれるところだった。まだ蓮には言えねえしな…)
昼休みのざわめきに助けられるように、その話題は自然と流れていった。
――――――――――――
[帰宅後・配信開始]
自室の椅子に座り、配信画面を立ち上げる。
「イザナ」としての2回目の配信が始まった。
イザナ:「こんイザナ! 今日は2回目の配信です。まだゲームとかはやったことないんだけど……今日は雑談でいこうかなって」
:待ってた!
:2回目で雑談助かる
:いや新人なのにもう雑談配信てw
:声落ち着くからアリだな
イザナ:「まあ、緊張はするけど……話してみようかなって」
画面のコメントを追いながら、自然と朝の出来事を話し始めていた。
イザナ:「あのさ、実は家にちょっと人間不信気味な妹がいてさ。普段はそっけないんだけど……今朝、急に『ありがとう』って言ってくれたんだよ」
コメント欄がざわつく。
:え、尊い
:妹エピきた!
:人間不信でも感謝はできるんやな
:不意打ちのありがとうは効くよな
イザナ:「いや、そういう萌え要素とかじゃなくて……単純にびっくりしたんだよ。いつも無愛想だからさ。まあ……ちょっと嬉しかったかな」
思わず笑ってしまう俺に、コメントは「にやけてるなw」「デレか?」と茶化すように流れた。
――――――――――――
[配信終了間際]
イザナ:「あ、そうだ。最後に告知あるんだった」
俺はスマホを手に取り、事前に作っておいたグループチャットを確認する。
そこには「ミタマ」「ヴェラッド」「キララ」の名前が並んでいた。
イザナ:「……えーと、明日の夜9時、俺イザナが――ミタマさん、ヴェラッドさん、キララさんとコラボ配信します!」
コメント欄が一気に盛り上がった。
:うぉおおおお
:きたきたきた!!
:ってか早すぎんか!?
:まだ2回目やぞ!?!?
:新人でこれはバケモンすぎる
:勝手に言ってないよな?(ハラハラ)
イザナ:「いやいや、ちゃんと許可もらって……勢いじゃないから!」
声が上ずる俺を、コメントの嵐が容赦なく追い詰める。
けれど不思議と嫌な気持ちはなかった。
:これは見るしかない
:絶対神回だろ
:明日の21時予定空けた
イザナ:「……それじゃあコラボの詳細は後で投稿しとくわ、今日はこの辺で。おつイザナ!」
配信を切った瞬間、通知音が鳴り止まない。
「#イザナ」「#大物コラボ」がSNSのトレンドに浮かび上がっていた。
(……マジか。俺、明日ほんとにやるんだな)
期待と緊張が入り混じる心臓の鼓動を感じながら、俺は椅子に深くもたれかかった。




