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後天的貞操逆転世界の異端者  作者: 水島紗鳥@今どきギャルニコニコ漫画月間お気に入りランキング1位
第2章

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第47話 華菜ちゃんがモタモタしてるうちにサービス期間は終わったの

 ショッピングモールの外に出た俺達はそのままカラオケ店へと向かう。外はめちゃくちゃ暑かったためほんの少し歩いただけで体中から汗が吹き出してくる。だから冷房のよく効いたカラオケ店の中へ入った瞬間俺達の表情が綻んだ事は言うまでもない。


「生き返る、やっぱり冷房が無いと生きていけないよ」


「ああ、俺もあっという間に汗だらけだ。夏本番はまだこれからだってのに暑過ぎるだろ」


「朝ニュースで言ってましたけど今日って猛暑日らしいですよ」


「猛暑日って確か最高気温が三十五度だったよな、通りで暑いわけだ」


 俺達は口々にそうぼやきながら部屋へと向かう。最近はアプリから予約すれば受付で手続きする必要もないため非常に楽だ。

 それから指定されたルームに入室したわけだが中は思ったよりも狭かった。全員座るにはかなり密着する必要がたりそうだ。左右から密着されるのは色々とまずいため一番端の席に座ろう。


「俺は端のシートが良いので先に座ってください」


「ああ、ありがとう」


 俺の言葉を聞いた雨宮先生はすぐに動いて座ってくれたが何故か玲奈と叶瀬は動かなかった。


「なあ、いつまで経っても俺が座れないから早く詰めて座ってくれ」


「そうですよ、玲奈先輩早く座ってください」


「その席は華菜ちゃんに譲るよ、だから座っていいよ」


 玲奈も叶瀬も相手に先に座らせようとして自分は座ろうとしない。もしかして雨宮先生の隣に座るのがそんなに嫌なのか?

 そう思った俺だがすぐに二人の思惑に気付く。もしかすると玲奈も叶瀬も俺の隣に座りたいと思っているから相手を先に座らせたいのかもしれない。

 貞操逆転してから女子はとにかく男子と密着したいみたいな考えを持っているらしいし恐らくそれで間違っていないはずだ。


「やっぱり上級生の玲奈先輩を立てるべきだと思うのでお譲りします」


「ここは可愛い後輩に譲ってあげる場面だと思うから遠慮はいらないよ」


「絶対そんな事思ってないでしょ」


「それを言うなら華菜ちゃんも私を全然敬ってないじゃん」


 二人は俺と雨宮先生の前でそんな醜い争いを繰り広げていた。多分このままでは埒が明かないと判断した俺は争っている玲奈と叶瀬を無視して雨宮先生の隣に座る。これで解決かと思いきや新たなバトルが勃発してしまう。


「じゃあ優しい玲奈先輩のお言葉に甘えて先に座ります」


「いやいや、さっきは上級生を立てる場面とかドヤ顔で言ってたよね?」


「でも可愛い後輩に譲るって言ってたじゃないですか」


「華菜ちゃんがモタモタしてるうちにサービス期間は終わったの」


 うん、とりあえず俺は座れたけど結局争っている内容はほとんど変わってない。いや、むしろさっきよりも悪化している気すらする。そんな事を考えていると雨宮先生が突然口を開く。


「なら芦田と叶瀬でカラオケ勝負して勝った方が座るでいいんじゃないか?」


「なるほど、面白そうですね。私はそれでいいですよ」


「それなら華菜ちゃんに勝てる自身があるし私も大丈夫」


 どちらかが難色を示すのではないかと思っていたが二人ともあっさりと納得してくれた。それにしてもカラオケ勝負か、可哀想だけどこれはやる前から俺には結果が分かってしまう。


「私から歌わせて貰いますね」


「うん、お手並みを拝見させて貰うよ」


「余裕ぶっていられるのも今のうちだけですから」


 どうやら先に歌うのは叶瀬のようだ。机の上に置かれていたタブレットを操作して曲を予約すると叶瀬はマイクを握りしめて歌い始める。


「へー、叶瀬はアニソンなのか。てっきり今流行りのドラマの曲とかかと思ってたから意外だ」


「叶瀬って実はそこそこアニオタですからね」


 叶瀬が歌っている曲はカラオケの人気曲ランキングの上位にもよくランクインするとある汎用人型決戦兵器が登場するアニメのオープニング曲だ。

 ちなみにこのアニメは俺が叶瀬に教えたのだが本人曰くかなりハマったらしい。叶瀬の歌はかなり上手く採点結果九十四点だった。


「めちゃくちゃ上手いじゃないか、歌がこんなに上手いのは知らなかったぞ」


「ありがとうございます」


 雨宮先生に褒められた叶瀬は得意げな表情を浮かべている。それに対して玲奈は先程と同じく余裕そうな顔のままだ。


「じゃあ今度は私の番だね」


「私に勝てるようにせいぜい頑張ってください」


 叶瀬は自分の勝利を疑っていないようで玲奈を煽っていた。玲奈は一体どんな曲を歌うのか三人で見守っていると画面にはまさかの曲が表示される。


「えっ、私と同じ曲を歌うんですか!?」


「うん、そうだよ。この曲は有名だけど歌うのは今回が初めてなんだよね」


「おいおい、いくら何でも流石に芦田は叶瀬を舐め過ぎじゃないか?」


 そう呟いていた雨宮先生だったが玲奈が歌い始めた途端驚いた表情を浮かべて何も喋らなくなってしまう。それは叶瀬も同じだ。


「ふぅ、こんな感じかな」


 歌い終わった玲奈は満足した表情を浮かべていた。画面には点数として九十九点と表示されており採点結果はほぼ満点だ。


「ちょっと待ってください、いくら何でも上手過ぎません?」


「だから最初に言ったじゃん、華菜ちゃんに勝つ自信はあるって」


「玲奈は昔から歌がめちゃくちゃ上手いんだよ」


 それを知っていたからこそ俺は二人が勝負する前から玲奈が絶対に勝つと思っていた。叶瀬も悪くはなかったが相手が悪過ぎたのだ。

 玲奈の歌は普通に才能だと思うのだが本人的にバスケットボールの方が好きらしいのでそっちの道を目指す気はないらしい。


「って訳で私の勝ちだからここの席に座るね」


「正直めちゃくちゃ悔しいですけど……」


 そう言葉を口にする叶瀬だったが勝負に負けた事に関しては素直に認めたようで大人しく一番端っこのシートに座った。

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