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後天的貞操逆転世界の異端者  作者: 水島紗鳥@今どきギャルニコニコ漫画月間お気に入りランキング1位
第2章

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第42話 すまん、だがこれはわざとじゃないんだ

 休憩を終えて資料室に戻ってきた俺達は資料の整理を再開していた。最初の頃は雨宮先生と雑談する余裕もあったが疲労が蓄積するにつれてそんな余裕はなくなり今では黙々と作業をしている。

 だが資料室の整理はもうほぼ終わっているため後少しでこの作業も終わりだ。雨宮先生はこの後期末テストの採点などもあるだろうが俺はこれで家に帰れる。


「ようやく終わりそうだな」


「ですね、マジで大変でしたよ」


「ああ、沢城のおかげで本当に助かった。ありがとう」


「ジュース一本でここまで手伝ってあげたんですからサービスで今回の期末テストの世界史の点数を百点にして欲しいくらいです」


「それは流石に無理だが追加で何かお礼をするよ」


 終わりが近いという事もあって俺も雨宮先生もテンションが高かった。それもあって雨宮先生は足元をよく確認しなかったらしい。


「うおっ!?」


「ちょっ!?」


 なんと雨宮先生は足元に置かれていた小さな箱で躓いた挙句すぐ隣にいた俺を盛大に巻き込んで床に倒れ込んだのだ。現在俺は雨宮先生の下敷きになっている。


「痛たっ……大丈夫か?」


「大丈夫ですけど雨宮先生って俺を巻き込んで倒れるのが本当好きですね」


「すまん、だがこれはわざとじゃないんだ」


「わざとだったら大問題ですよ」


 以前倉庫に閉じ込められた時も俺を巻き込んで倒れた前科があるしわざとやっているんじゃないかと割とマジで思うレベルだ。だが雨宮先生にそんな事をする勇気が無い事は分かり切っているためかろうじてわざとではないと信じられる。


「それより重いのでどいて貰っても良いですか?」


「こら、何て事を言うんだ。こう見えても体型の維持には気を遣ってるんだぞ」


 俺の言葉を聞いた雨宮先生は相変わらず上に乗った状態のままそんな事を言い始めた。


「別に太ってるとは思ってませんって、でも雨宮先生は身長が高いのでその分普通の女性より重いんですよ」


「くそ、やっぱりこの身長のせいか。五十キロ後半あるやつはデブだという言葉に私がどれだけ苦しめられてきた事か……」


「いやいや、百七十六センチでその体重は十分軽いでしょ」


「あいつらの中では五十キロ以上あると女子じゃないらしいのだ」


 雨宮先生は完全にトラウマスイッチが入ったらしく一人でぶつぶつ言っていた。あいつらとかどうでも良いから早く退けてくれ。そう思っていると資料室の扉が開かれる。


「……雨宮先生、そんなところで先輩と重なり合って一体何をしてるんですか?」


「……やっぱり雨宮先生は獣だったんですね、残念です」


 資料室の扉を開けたのは玲奈と叶瀬だった。さっきまでトラウマがフラッシュバックしていた雨宮先生は二人の姿を見て我にかえり慌てて俺から離れる。


「ま、待てこれは違うんだ」


「何が違うんですか、前も倉庫の中と保健室で潤にいかがわしい事をしようとしてましたよね?」


「あれは誤解だったと説明して納得してくれただろ」


「さっきの姿を見るとやっぱり納得出来なくなってきたした」


 雨宮先生は玲奈からまるでゴミを見るような視線を向けられていた。まあ、これだけ立て続けに色々あるとそうなってもおかしくは無いよな。


「へー、雨宮先生って今まで先輩にそんなセクハラをしてたんですね」


「だからそれは誤解なんだ、信じてくれ」


「じゃあ今までが誤解だったと一旦仮定して今回の事は一体どう説明するつもりですか?」


「足元にあった箱で躓いて沢城を巻き込んで転けただけだ、それ以外に他意は無いからな」


「その言葉を聞いても信じられないんですけど」


 相変わらず雨宮先生は必死に弁明していたが叶瀬も玲奈と同じく冷めた目で見つめていた。今回の件はぶっちゃけ雨宮先生の自業自得な気しかしないが集中砲火を浴びて可哀想になったきたので助けに入る。


「玲奈と叶瀬は信じられないかもしれないが一応事実だ」


「急に雨宮先生を庇い始めるって何か怪しくない?」


「あっ、先輩もしかして雨宮先生に脅されてたりします?」


「そんな事はしてないから」


 俺が擁護した途端二人はそんな事を言い始めた。まあ、こういう反応が返ってくる事くらいは最初から想定済みだ。


「ぶっちゃけ玲奈と叶瀬は雨宮先生にそんな度胸があると思うか?」


「うーん、確かに潤に手を出したり脅したりする勇気は無い気がする」


「でも雨宮先生が性欲に負けて突発的に先輩に手を出そうとした可能性も捨てきれませんよね」


 玲奈はちょろかったため陥落させられたが叶瀬がまだ納得しきれていない。だから俺は叶瀬を納得させられるよう話し始める。


「もしそういう状況だったら俺がこんなに冷静に話せる訳ないだろ、確か叶瀬は貞操逆転前に痴漢にあったと思うけどその時はこんなに冷静だったか?」


「確かにあの時は恐怖でそれどころじゃなかったです」


「だろ? もし俺が本当に手を出されそうになってたら今みたいな感じでいられるわけがないから」


「そうですね、分かりました。雨宮先生がレイパーではない事は納得します」


 よし、これで二人の誤解は何とか解けた。おかげで余計に疲れさせられたしますますジュース一本では報酬が足りない気がする。

【読者の皆様へ】


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