Sacrifice
秋の歴史、2023開幕。
最近全然投稿してない&歴史小説難しくて書けない、と言うことでとりあえず。
あれは、私が小学生の頃だった。
その頃、ちょうど日本は戦争中で、本当に食糧がなかったんだ。
庭でかぼちゃとか芋とかを植えていたけど、それも焼けてしまった。
「欲しがりません、勝つまでは。」
これくらいは聞いたことあるだろう?
元々開戦時から少し食料が少なかったんだけど、いよいよ戦争終盤にもなって、本当に飢え死にしそうだった。
米?そんな贅沢品、あまり食べられなかったよ。
そんな時だった。
ある日、僕が家に帰ると、いい匂いがした。
もう何日も使っていないせいで蜘蛛の巣が張ったコンロに、真っ赤な火が起こっていた。
僕がその中を見ると、母がステーキを焼いていた。
「どうしたの?この肉?父さんも喜ぶかな!」
僕は感激しながら聞いた。
すると、母はただ涙ぐんで、
「お父さんに感謝しましょうね。」
とだけ言って、それきり何も言わなかった。
父は、帰ってこなかった。
僕が父は戦争に行ったこと、そしてあの肉は父が戦争に行くことになったを知った父の実家が送ってくれたものであったこと、父はそれが届く前に徴兵されていってしまったことを知ったのは、それから数年後、母が死んだ時のことだった。
読んでくださってありがとうございました。
この話はフィクションです。