3.
よろしくお願いします!
家に着いた。
使用人が車に向かって一堂に頭を下げている。
「私は下げられても困るなぁ」
そんな照れてれの都も可愛いのだが、
「次期この家の当主夫人なんだから慣れるしかないよ」
とミヤコも言う。
俺が次期当主ってわかってるなら、俺に対する態度を何とかしろよ……。
珍しいことは続くもんだ。
親父がいる。
「おう、お帰り。都ちゃんは会う度に可愛いなぁ」
『いつも可愛い』の間違えだ、親父。
「でな、うちのミヤコは相変わらずだな。見た目とのギャップ萌えと言うんだろうか?」
ギャップ……ありすぎなんだよ。
「キョウは……ちょっと応接室に来いや」
昔の不良の呼び出しみたいだな。行くけどさ。
俺は着替えて応接室に行った。
「俺は一応毎日帰宅してんだ」
聞いてねー。しかもそれは今問題じゃねー。
「キョウ、学校では上手くやってるのか?」
応接セットのソファで足を組んで俺に聞く。はいはい、アシナガイデスネー。
「ええ、指令通りに成績は150番程度に抑えてますし、運動もそこそこ、見た目ももっさりしてますよ。ミヤコが目立ってるので俺は影のように生活していますね。敢えて言うなら、可愛い許嫁がいるってのが目立つくらいのもんです」
「都ちゃんは可愛いからなー」
「大学に入り次第、俺も本性を現しますよ。報告すべきことは……多分執事の方からも聞いているかと思いますが、今FXとか投資で少々小遣いを稼いでいます」
……親父も都LOVEかよ。
「ほぅ、お前は確か、小学低学年で高校過程までの学習は終わっていたな?」
「はい。今は5カ国語通訳可能にまでなりました」
「して、その小遣いとはどのくらい稼いでいるんだ?」
それ重要なのかよ?器ちっちゃい!
「額はまちまちなのですが、個人でブラックカードを持てる程度まで資産をため込みました。これには家の資産は含まれません」
「うむ、キョウには小遣い要らないな。かわりに都ちゃんにあげようかなぁ~♪」
お義父さんではなく、‘パパ’になるのでやめてください。気持ち悪い……。
「それは……ちょっと……。彼女は使用人としての賃金を毎月得ているはずです」
「そういえばお前は今は何を勉強してるんだ?」
知らなかったのかよ?放任もいい加減にしろよ!そんなだからミヤコみたいなのができるんだ。
「投資とあと……帝王学ですね。俺がこの財閥継ぐんですよね?違うなら起業しますけど?」
「いや、お前が継ぐんだけどさぁ。高校時代、いったい何を勉強するんだ?と思ってな。大学は学部とか考えてるのか?」
「経営者になるわけですし、経済学部がいいかと。ハリハ学園の大学部に経済学部ってありましたっけ?あとは、法律に強いのも魅力ですよね。そういう理由で法学部」
「なるほどなぁ。まぁ、大学部受験が近くなったら学力の方は本性出していけばOKだろう」
長かった……。こんなに長く面談したのは久しぶりだ。
おふくろいなかったけどいいのか?放任だからいいのか?いいんだろうか?
俺は自室でもっさい状態の髪をかき上げてオールバックにした。
当然だが、ミヤコに似ている。姉弟だし、当然か。
いや、どっちかというと俺の方が肌とか髪の毛とか気を使ってる。
嗚呼、2卵生万歳!ミヤコと同じ顔とか正直嫌だ。
俺はおふくろ似かな?あぁ、それならミヤコもだな。
切れ長で二重が俺。ミヤコはくりっくりで二重でバッサバサのまつ毛。
鼻筋は二人とも通ってるな。俺の方が鼻高いけど。
二人とも左右対称の顔立ちだなぁ。ミヤコをじっくり観察したことないけど。
ミヤコを観察したら、「何見てんだよ?」とか言われそうだし。
使用人曰く、「キョウ坊ちゃんもミヤコお嬢様も眼福~。二人そろった食卓なんて最強よね」
強いのか?俺にはわからない。
俺は食卓に都がいないのが不満。あーあ、学校の昼休みなら一緒に食べれるのにな。
俺は今日も帝王学を勉強しながら、新たな語学を習得しようとしつつ、株式投資をしている。
家での俺はそんなもんだ。
嗚呼、俺のオアシス都!
「疲れてるでしょ?はい!紅茶淹れてきた。あんまり無茶して体壊さないでね」
この優しい言葉に俺は癒される~!!
対して家でのミヤコ。
何故だろう?
部屋着でダラダラ漫画を読みながら、スナック菓子を食べている。
「お嬢様、食べこぼしに注意してくださいね。あと、今は太りませんけど、スナック菓子ってカロリー高いんですよ!中年太りに気を付けて下さい。お嬢様に限ってそんなことはないと思いますけど」
「えっ、マジで?知らなかった。都ちゃんありがとー」
「お嬢様……苦しい……」
ミヤコは力加減を覚えた方がいいと思う。
「あ、ゴメン。都ちゃん可愛いし、嬉しくって、つい」
「本当は肌とかもケアした方がいいんですけどね、若いうちから。今は超美肌ですけど」
「そうなんだー。それで、朝とか煩いのかなぁ?」
「あれは僻み半分ですね。お嬢様みたいだったらいいのに……って」
(女の闘いはコワイ。男で良かったよ。と思いながら、周りの男はミヤコを見てるんだろうなぁ……)
「ムリじゃん。遺伝子から違うんだし」
「言ってしまうとそうなんですけど、まぁ付き合いというか……」
「上流家庭って面倒臭いー」
「生まれたものは仕方ないですよ。あ、持ってきたお茶、置いておきますね。火傷に注意してくださいね」
「ありがとう、都ちゃん」
(本当、都には俺とは全く態度が違うよな)
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