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1.

「ごきげんよう、ミヤコさん」


「ごきげんよう」



「御髪が黒々と艶があって……、肌もキメが綺麗だわ。何か秘訣が?何か特別な?」


「特に何もしてないのよ」


「そういう有名人とか数年後に『コレを使っています』みたいに公表するのよねー」

(女の闘いって怖いな……。でもこの女は本当に何にもしないんだよ。風呂での洗顔は洗髪ついでとか、『お前はスキンヘッドの人間か?!』って突っ込みたくなるような……)


「ごめんなさい。私、テレビとかに疎くって……」

(嘘つけ、お前の部屋にはかなり大きいテレビがあるはずだ)



ここは私立ハリハ学園。全国有数の子息・子女が通う高校だ。

‘ミヤコ’というのは俺の双子の姉。



俺の名は‘キョウ’。

二人とも‘京’という漢字を使っている。うちの親がつけたのだろうか?双子なのに、分かりにくい。……音は全然違うんだけど。



他にも……

「あー、今日もミヤコさんは麗しいなぁ。何でお前と双子なんだ?」

(知らん)



「お前なんか、村人Aでいいわ!たいして特徴ないしー」


「人のこと言えんのかよ。まぁ村人って別にいいけどー」

一応ボンボンなんだよな。土地成金だっけ?村人がちょうどいいじゃないか。


「あ、お前は村人Bな」

こいつは海運会社の御曹司だったかな?

「えー、俺は海人Aの方がいい。親父の会社、海運会社だし」



えー、そんな俺の容姿・その他だが、こう金持ちの中で平均的な容姿の人を集めて壺に入れて平均化したみたいな容姿をしております。

(親父の命令です。曰く、『全ては大学からだ!』

そういうわけで、俺は容姿も何もかもを人並みにひた隠しているわけです)



‘麗しい’姉は歴代ミスユニバースを集めて壺に入れて平均化したみたいな容姿をしています。

なーんでこんなに2卵生とはいえ違うかなぁ?とは自分も含めよく言われるものであります。

実際の所はどうなんだろ?



両親はそれなりに美男美女なんだけどなぁ。

あ、うちは代々の財閥というやつです。俺が跡取りになるのか?



村人A曰く、

「ミヤコさん、きっと休日なんてBGMがクラッシックで、日当たりのいい部屋で、膝に猫とかいてさー、そんで詩集とか読んでんだよなぁ。平日でも空いた時間はヴァイオリン弾いたりさぁ」



(うーん姉に夢を見ているなぁ。現実の姉、

休日はできるかぎり寝坊をし、スナック菓子を食べながら少年漫画を読んでます。平日の空いた時間……スマホでBL小説読んでます。とは言えないよなぁ。姉にシバかれる。言うなって言われてるし。

そもそもうちに猫居ないよ……。姉は猫アレルギーだ)



「でさぁ、お前!キョウは何で双子してんだよ?!見た目もっさいし」

(俺に言うな。知らんし)


海人A曰く、

「そうだよなぁ。キョウは成績も何もかも平均だもんな。そりゃあ、他の進学校レベルだったらトップレベルかもだけど、ここじゃなぁ……」


「キョウの休日は勉強漬けって感じだよな。でないとここの学力についてけないからな」

(フランス語まで必修だし、英語と英会話だからなぁ)


「そこは否定しないけどー」


「「どこを否定するんだ」」

(姉の休み時間の過ごし方。あり得ない!)


「双子してるのは俺の意志とは無関係だし。その他も無関係だな」

「「なにおう!あのミヤコさんとひとつ屋根の下というだけででも罪深いぞ」」

(そんなの知らないし)



「ところで、何でキョウはミヤコさんと一緒に登校しないんだ?運転手さんも手間だろ?」


「あー、俺は誰もいない教室で自習が好きなんだよ」

(ミヤコが「一緒に歩かないでよ」って言ったんだよな。あと、一緒に登校したらミヤコの荷物持ちだと思われたし。俺も気分悪いんだよなぁ)


「二人は双子で全然違って仲いいよね」

(違う。あいつはかなりの自己中だ。さらに、俺と双子なのを汚点くらいに思ってるんだろう。仲良く見えるのはフェイクだ!あいつは学校で猫かぶってるからな)



「キョウ~!」

「「ミヤコさん!」」

呼ばれたか、行くか……。仕方ない。仕方ないよな、全校生徒敵に回したくない。俺は平和に生きたい。



「なんだよ、ミヤコ」

「てめぇ、私のこと悪く言ってねぇだろうな」

相変わらず口悪いな。笑顔でこのセリフを言えてるところはすごいと思う。

「言うわけないじゃん。今日も‘麗しい’そうですよ、ミヤコさん。それで、用件は何でしょうか?」


「あぁ、教科書忘れたから貸して」

あー、そういうことか。そういうときだけ猫なで声みたいな。そのために俺の教科書の氏名を書く欄は漢字で書いている。“城之内 京”。便利だよな。ミヤコのものかキョウのものかわからないから。発案ミヤコだし。……腹黒い。



「同じクラスだから無理じゃねー?」

俺は至極当たり前の発言をした(つもり)。

「それなら、お前が忘れ物をしろ!」

出たー!女王様発言!家でも蝶よ花よで甘やかされ育ってるからなぁ。

俺がこうして育っているのが不思議なもんだ。

親父もおふくろも放任だし、使用人は可愛がりまくりだし、俺は普通に育ったけど。



「面倒だ、人にものをお願いする時はなんていうんでしょうか?」

けっ、俺がミヤコを再教育しなおすのか?面倒だなぁ。

「いいから、貸せよ!」

「いいんですか?お嬢様。声が大きくなってきていますよ?」

あー、いいザマだなぁ。……でもこれってあとで百倍になって返されるパターンか?

「貸して…く…ださ…い」

「わりぃ、聞こえなかった。もう一回言ってくんない?」



俺は声聞かれてもいいし。

「貸してください。…………クソ野郎」

「あー、なんか最後の方に余計な言葉が聞こえたような気がするなぁ?っていうかさぁ、なんで俺に教科書借りようとすんの?ミヤコならいろんなクラスに友人がいるだろうに。あぁ、『教科書を忘れた』という事が汚点なのか、仕方ないなぁ。頑張って、俺にお願いするんだな」

「クソっ面倒な事になった」



「そもそも忘れなきゃ良かったじゃん。ロッカーあるし?」

そうだよなぁ、ミヤコは勉強しなくてもって授業だけで学年トップクラスの順位だし。

「持って帰っちまったんだよ!だから、貸してください!」

おいおい、声デカくないか?

「ま、今日は勘弁してやるか。‘何を’の部分を言ってないから。CDとか言っておけば?聞かれたら」



……多分聞かれるだろうな。『穏やかなミヤコさん』で通ってるから。

「そんじゃ、そういうことで。学校で余計な声かけんなよ」

「わかってるよ」



めんどくさい。

「「キョウ!ミヤコさん、何て?」」

何でキラキラした目で俺を見るかなぁ?

教科書貸してくださいとは言えないな。さらに、俺が再教育をしようとしたことなどは……。



「あーなんか、貸してほしいとか言ってたなぁ。何だったか?まぁ家に帰ればわかるか」

「そういうのが羨ましいよなぁ。『家に帰れば、ミヤコさんがいる』って状況」

わかるー。と海人Aも言っている。

俺は報復が若干怖い。

「ロッカーって便利だよな……」

「「はぁ?!」」

読了ありがとうございます!

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主人公は、城之内 京(キョウ)。財閥の御曹司。私立ハリハ学園。全国有数の子息・子女が通う高校に通っている。親父の『全ては大学からだ!』と言う命令で、キョウは容姿も何もかもを人並みにひた隠している。高校…
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