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「踊ってみた」

「歌ってみた」

ユーチューブ。

インスタグラム。

ツイッター。

ブログとあれもこれも日々更新がその頃のメイドたちの仕事の一部になっていた。

最初はなんのためにという反対がほとんど。

「そもそも足利家内でしかメイド業をするわけじゃないのに、外部に発信する必要があるの」とか、

「私、親にそんな格好をするためにメイドにしたんじゃないと怒られた」など苦情が続発。

メイメイはどんどんメイド長として浮いた存在になり始めていた。

それでもメイメイだけはそれを続けていた。

やがてちっちゃな積み重ねが身を結び始める。

というのも、そもそもメイメイはコスプレヤーの中ではドリーと人気を二分するほどの有名人であったのだ。

男子のドリー。女子のメイメイと噂され、二人のコンビは国際展示場のツインスターと呼ばれていたのだ。

そんなメイメイがネット上にメイド姿で動画をあげているとなれば、あっという間に噂にのぼり、動画や写真が拡散していった。

ドリーデザインのメイド服を着こなすメイメイ。

ドリーがメイド服をデザインしている動画などもアップされると一気に人気に火がついた。

そうなるとその人気にあやかりたいとメイドたちの中にも真似する者たちが増えていく。

こうして気が付くとユーチューブチャンネルは登録者10万人を超えるサイトに上り詰めた。

そしてドリーは10万人登録突破記念のゲストとして出演したのである。

久しぶりのドリーの動画出演。


コスプレファンたちは色めき立った。

というのもドリーがコロナによる引きこもり生活のせいで、劇太り。

魔人ブウチャンネルと揶揄され始めて、しばらく動画の更新がなくなっていたからだ。

ドリーとしては太ったせいで配信をやめたのではなかったのだが、更新されない動画に噂は一人歩き。

ドリーがマツコ・デラックス並みに太ったという情報が拡散された。

しかもよくできた合成写真やフェイク動画なども蔓延し、みんなは勝手に巨大化したドリー像を造り上げてしまっていた。

そんな噂が広まって以来の出演である。

ネット上では大騒ぎとなった。

誰もがマツコ・デラックス並みに太ったドリーの登場を今か今かと待ちわびた。

それは面白半分、野次馬根性丸出しであったのだろう。

しかし太って魔人ブウとあだ名をつけられていたドリーが、かつてのように痩せてスリムになって登場したのだ。

その衝撃は数字になって現れる。

激やせなどのハッシュタグが一気に拡散されることになる。

 生配信の衝撃はリツイートされ、タレントでもないのに、ツイッターのトレンド入りするほどであった。


「あのコスプレーヤーがコロナウイルスを克服し、スリムになって再登場」

「あのドリーがコロナのせいで激やせ」など。

一部のネットニュースに取り上げられた。

「しかし痩せましたね」とコメンテーターまでもが、合成写真を信じ込み、本当にマツコ・デラックス並みに太ったと疑いすらしてなかった。

つまり誰もが噂を信じ込んでいたために、その激やせぶりは衝撃で、ダイエット法を教えてくださいというコメントで炎上しそうになっていた。

実際にはコロナ太りはしたのだが、コロナにかかったわけではない。

劇太りはしたが、マツコ・デラックス並みに太ったわけではない。

これが真実。

しかしみんなが嘘情報が真実だと疑うことすらなかった。

だからコロナ克服は間違い。

コロナにかかったせいで太ったというおかしな関係性さえみんなが信じ込んでしまった。

そしてその印象がぬぐい切れなかったようで、

「良かったですね、コロナが治って」などというお祝いメッセージも多く寄せられた。


そんなメイメイのユーチューブ生配信中に、「執事たちは今まで通り服装は黒のままなんですか」というコメントがあり、

「そうね、私たち執事も少し工夫しようかな」と答えたことが話題を呼び、ドリーのユーチューブチャンネルに、

「新衣装、期待してます」などのコメントが多く寄せられたため、ドリーは急遽、執事の衣装を新しいデザインに変更することにしたのである。

元々黒執事四人ということもあって、四葉のクローバーとか勝手に呼んではいたのだが、世間的には全く浸透していなかった。

そして数日後カラフル執事が、メイメイのユーチューブチャンネルで紹介される運びとなった。

そして全身ピンクの桃色執事にみんなは衝撃をうけたのだ。

黒も似合うが、ピンクも似合う。

しかもピンクの衣装だと、すごい美人に見えた。

「女だったんだ」と他の執事たちも言葉を漏らすほど、女子である。

それでいて、やはり男装の麗人という言葉もしっくりくる。

誰一人、林家パー子と揶揄できないほどイケメンで、美人だったのだ。


そしてメイメイのユーチューブチャンネルはそう言った話題の後押しを受け、あっという間に登録者を激増させ、気が付くと百万人を超えたのだ。


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