第98話
はるかと一緒にいることで、仕事で溜まっている鬱憤が消えて行くのだ。
【正直、不安もある!クラブ『H』を辞めたら、もう会えなくなるかも…】木嶋の心の中の悩みを、麻美にメールしたのだ。
「木嶋君、お久しぶりです。メール読みました。不安になる気持ちは理解出来ます。今、分かってほしいのは、はるかさんから見たら、《店とお客さんの関係》何もないのが現実です!その先を、追い求めても無理だと思うよ。」木嶋にメールを返したのだった。
木嶋は、
「はるかさんは、友達としてと付き合って下さいと言われて、今まで、頑張って来たんだ。その努力は報われることはないのかな?」麻美にメールを送信したのだ。
麻美は、
「何度も言いますが、あくまでも、《ホステスとお客さんの関係》であって、はるかさんが、夜の仕事を辞めたらそれで終わりですよ。メールだけだと、埒が明かないからあとで電話をします!何時ぐらいがいいのかな?」木嶋に返信したのだ。
木嶋は、
「そうだね。何時にしようかな?夕方ぐらいがベストかな?」麻美にメールしたのだった。
麻美は、
「了解しました!」木嶋に顔文字入りのメールで返したのだった。
木嶋は、一人で考えていると、極まれに、
《物事をマイナス思考》に捕らえてしまう。
それが、時として《アダ》になり、判断を誤って下すことがあり、多くの同志が離れていってしまった原因でもあるのだ。
木嶋は、
「そうだ、玲さんにも聞いてみよう。」
炬燵の上にあった携帯を取り、麻美に送ったメールの内容を玲に転送したのだ。
冬だと言うのに、暖冬のせいだろうか?気温が上がってきたので、木嶋は、最寄り駅近くにあるインターネットカフェ『M』に歩いて行ったのだ。
一人で家に居るよりは、外に出て、活動的に動いた方がいいと考えたのだ。
はるかと付き合うようになってから、家と会社の往復だけではなくなり、色んな店で食事をしたり、買い物にも行ったりして、自分は、良い方向に向かっていると思うのだった。
情報誌でも、横浜駅近辺にある新しい店を見つける楽しみもあるのだ。
インターネットカフェ『M』では、情報誌だけでは判らないことも検索していたのだ。
普段から、仕事でパソコンを使用せず、慣れていないのか?目が《ショボショボ》と疲れていた。
ここは、マンガや雑誌など多数、ストックされていて、利用している人を飽きさせないようになっている。
店の雰囲気は、明るく、木嶋は、いつも2時間ぐらいは過ごしているのだった。
インターネットカフェ『M』を出て、家に向かって歩き始めたのだ。
木嶋の表情は、少し暗い。新しい年は、スタートしたばかりなのに、テンションは低くなるばかりだ。
木嶋の携帯が、
「ピローン、ピローン、ピローン」鳴っている。
この着信音は、はるかからであった。
「木嶋さん、お久しぶりで〜す。これから横浜に出て来ませんか?」木嶋に問い掛けたのだ。
木嶋は、
「これからですか?」はるかに尋ねたのだ。
「そうです。私は、今、横浜に出てきているのですが、いかがでしょうか?」はるかは、木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「今から急いで行っても、30分ぐらい掛かりますが、はるかさん、待つことが出来ますか?」はるかに問い掛けていた。
はるかは、
「待ちますよ。私は、木嶋さんに会いたいのです!」
木嶋は、
「そこまで、はるかさんが言われたら行かないといけませんね。これから横浜に向かいます!」はるかに伝えたのだ。
はるかは、
「待ってま〜す。」電話を切ったのだ。
最寄り駅から電車に乗り、はるかの待つ横浜に向かったのだ。
電車内で、空いていた座席があったので、座ったのだ。
携帯が、
「プルッ、プルー、プルー」着信音が鳴っている。
麻美からであった。
「木嶋君、麻美ですが…。」
木嶋は、電話に出た。
「今、電車で移動中なので、あとから掛け直します。」麻美に伝えたのだった。
麻美は、
「分かりました。」タイミングが悪い時は、こんな状況が、木嶋には多い。
電車が、横浜駅に到着直前、玲からのメールがあったのだ。
座席に座っていたため、気づかなかったのだった。