第97話
木嶋は、家に入り、はるかとの甘い時間を、過ごしたことが忘れられずにいた。
「はるかは、素直で良いよな!夜の仕事をしているから、愛想がいいのは、当たり前なのかも知れない!今の自分には、居てもらわないといけない人。本当に好きな人!」
心の叫びが、今にも口から出てしまいそうだった。
そんな心境の中で、大晦日になり、
木嶋は、紅白歌合戦が始まり、歌を聴きながら想いに更けていた。
「今年も、終わりだし、はるかにメールでも入れよう。」近くに置いてあった携帯を手に取った。
「はるかさん、今年一年ありがとうございました。仲良く過ごせたことが一番良かったと思います!来年も、宜しくお願いします!」笑顔の顔文字入りでメールを送信した。
炬燵の中に入り、家族全員、揃いながら、年越蕎麦を食べていた。
木嶋は、
「家族全員が無事に過ごせたことが良かった。」そう感じながら、
除夜の鐘が、
「ゴーン、ゴーン、ゴーン」NHKチャンネルから聞こえてきたのだった。
家の中にある掛時計を見ると、時刻は、あと10分弱で、新年を迎えようとしていた。
姉が、
「これから家の近くにある神社に、二年参りに行こう!」家族全員に声を掛け、
「行こう、行こう!」軽いノリで、身支度を素早くすませて、家を出たのだった。
家から、歩いて10分ぐらいの所に、小さいながらも神社があるのだ。
ガソリンスタンドを右手にして、左に曲がった。
近所の人たちが、集まっていた。
「氏子の人たちかな!」
最後尾に並びながら、お参りする順番を待っていた。
待ち時間の間、甘酒が配られていた。
木嶋も、寒さに震えながらも、手に取り、甘酒を飲んだのだ。
少し遅れて、両親が歩いて、列に並んだ。
神社に祭祀されている神様に、おさい銭を入れ、拍手を打ち、一礼、願掛けをしたのだ。
「はるかさんと、いつまでも仲良く、結婚出来ますように…。」木嶋の本心であった。
「誰にだって、明日を夢見ることぐらいはいいさ!」呟きながら、神社をあとにした。
両親が参拝を終えて、姉と合流、家族全員、家に帰ったのだ。
家に着き、携帯を覗くと、着信のサインが出ていた。
「誰からだろう!」受信メールを見た。
はるか。麻美、玲の3人から《あけおめメール》だった。
最初に読んだのは、はるかからのメールだった。
「木嶋さん、明けましておめでとうございます!今年は、成人式を迎えます。私も、晴れて大人の仲間入りです。今年も宜しくお願いします!」
木嶋は、はるかからのメールが嬉しくて、仕方なかった。
「はるかさん、明けましておめでとうございます。自分も、はるかさんが成人式を迎えるのを心からお祝いを致します。至らないかも知れませんが、今年も宜しくお願いします!」木嶋は、はるかにメールを送信したのだった。
木嶋は、なかなか寝付けずにいた。
「何故だろう!」
興奮をしていたのだ。
いつもは、メールは読んで返信するが、麻美と玲のメールは、チェックして、寝床に入ったのだ。
木嶋は、疲れが出てしまったのだ。
疲れを取るには、温泉に行って癒した方がいいと、木嶋は考えていた。
新しい年になり、木嶋は、寝床から起きたのだ。
家族に、新年の挨拶を終えて、木嶋は、温泉に行くことを提案した。
「温泉に行こう!」
駅伝を観戦しながら行くよりも、早くに温泉地に行った方が得策と考え、支度をしたのだ。
駐車場まで歩きながら、先ほどチェックした麻美と玲の読んでいた。
「木嶋君、明けましておめでとう。今年も、仲良くして、お店に遊びに行く来て下さい!」麻美も玲も、同じ内容のメールであった。
木嶋は、
「明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願いします。」新年の挨拶メールを麻美と玲宛てに、送信したのだった。
木嶋には、はるかも、麻美も、玲の3人とも失いたくない【掛け替えない存在】に変わろうとしていたのだ。