第96話
コーヒーショップ『Y』のBGMから懐かしいメロディーが聞こえてきた。
〜♪〜大きなノッポの古時計、おじいさんの時計百年、いつも動いてた、ご自慢の時計さ〜♪〜
平井堅さんが歌っている〜大きな古時計〜だった。
木嶋は、小さいときに歌った記憶があった。
その曲を、口ずさみ始めていると、はるかも一緒に歌い始めたのだ。
はるかは、
「木嶋さん、《大きな古時計》は知っていたのですか?」木嶋に尋ねたのだ。
木嶋は、
「えぇ〜、知っていましたよ。小学生ぐらいに、学校で習いましたよ。」はるかに話したのだ。
「随分、物知りなのですね。木嶋さんに、ベタ惚れしそうです。」はるかが、木嶋に伝えたのだ。
木嶋は、
「ベタ惚れしそうなのは、自分だったりして…。」はるかに話したのだ。
はるかは、
「木嶋さん、ジョークが上手いですよ!今度、カラオケで歌って下さい。《大きな古時計》…」木嶋にお願いをしたのだ。
木嶋は、
「いいよ!はるかさんが、時間的に余裕があるとき、カラオケに行きましょう!」はるかに伝えたのだ。
はるかは、
「本当ですか?」
「本当ですよ!アカペラでも歌えますよ。」木嶋は、はるかに話しを続けてた。
「はるかさん、宇多田ヒカルと同じ世代でしたよね!」
「宇多田ヒカルと同じ世代ですけど…何かあるのですか?」はるかは、木嶋に尋ねたのだ。
木嶋は、
「以前、はるかさんに聞いたと思いますが、宇多田ヒカルの曲は聴くのですか?」はるかに聞いていた。
はるかは、
「宇多田ヒカルの曲は、聴きますよ。同世代としては最高ですよ!一度、聴いてみて下さい。」
「今、流行りの曲は、何がヒットしているか判らないのです。」木嶋は、はるかに尋ねるのであった。
「洋楽も、聴きますよ。聴いたことはありますか?」
「洋楽…ね。洋楽は、自分は、一度だけ聴きました。曲名は《GIVE ME UP》!それ以来、洋楽には、接していないですね!」木嶋は、はるかに伝えたのだ。
「《GIVE ME UP》ですか!私も聴いたことがありますよ。洋楽は、ジャンルがたくさんあるので、色々と教えますよ。ブランド品も一緒にね。」木嶋に答えたのだ。
木嶋は、その言葉を聞いた時に、
右肘をテーブルから「ズルッ」落としたのだ。
「はるかさん、装飾品でも、好きなブランドがありましたよね?」はるかに、木嶋は尋ねたのだ。
はるかは、
【LOUIS VUITTON】が好きですよ。
【LOUIS VUITTON…か】木嶋は、呟いた。
「以前、誕生日プレゼントで買いましたよね。【LOUIS VUITTON】は…。」はるかに聞き返したのだ。
「そうですよ。木嶋さん、高価な商品を買ってもいいですか?」少し自嘲気味に、木嶋に伝えていた。
木嶋は、苦笑いを浮かべるしかなかったのだ。
「少し考えさせて…」それしか返す言葉が見当たらなかった。
木嶋は、コーヒーショップ『Y』の掛時計で、時間を確認していた。
時刻は、既に午後6時30分になろうとしていた。
「はるかさん、クラブ『H』に行く時間ではないのですか?」はるかに尋ねていた。
はるかは、
「実は、今日は、店に出勤する女性が多くて、急遽休みになったのです。」木嶋に答えていた。
「そんなことがあるのですか?」木嶋は、驚いた表情を見せたのだ。
はるかは、
「私は、今日みたく、急遽休みになった日は、ずっと木嶋さんと居たいのですが…ダメですか?」木嶋の心に問いただしていた。
木嶋は、激しく心が揺れ動いていた。
「ジキルは、『一日、居たほうがいいぞ。』と言う言葉と、ハイドは、『まだ機会があるぞ。』と一瞬の迷いがあった。」
木嶋の結論は、
「はるかさんが、時間の許す限り一緒きいますよ。」ジキルの結論を出したのだった。
再び、大きな古時計のメロディーを聴きながら、コーヒーショップ『Y』の中で、時間が過ぎて行く。
「いつまでも、一緒にいようね!」木嶋は、はるかに約束したのだ。
お互いの小指で、指切りをしたのだった。
木嶋とはるかは、座っていた座席を立ち、木嶋が、会計伝票を持ちながら、1Fで会計をしたのだった。
はるかは、店の外で木嶋が来るのを待っていた。
木嶋が、コーヒーショップ『Y』から出てきたのを確認してから家路に着くのであった。