第90話
木嶋は、腕時計を見た。時刻は、午後10時を過ぎたばかりである。
木嶋は、
「富高さん、まだ時間は大丈夫ですか?」麻美の隣りにいた富高さんに声を掛けたのだ。
富高さんは、
「あっ、木嶋君。そうだね〜時間は、いつもぐらいでいいよね?」木嶋に話しをしたのだ。
木嶋は、
「分かりました。いつもぐらいの時間になったら、再び、声を掛けます。」富高さんに伝えたのだ。
木嶋の話しを横で聞いていた麻美は、
「木嶋君、いつもの時間で会計を切りますからね。」木嶋に伝えたのだ。
「麻美さん、気を遣って戴き、申し訳ありません。」木嶋は、麻美に頭を下げたのだ。
麻美は、
「何を言っているの!私と木嶋君の仲じゃない!」木嶋に話したのだ。
木嶋は、
「エヘッ」照れ笑いを浮かべていた。
そんな木嶋の表情を見ていたさくらさんは、
「木嶋さん、笑顔が素敵です。」木嶋に話したのだ。
木嶋は、
「そうですか!」笑いながら、髪の毛を撫でていた。
さくらさんは、
「木嶋さん、結構、お酒が強いですね!」木嶋に問いかけていた。
木嶋は、
「人付き合いで飲みますが、家で飲みません。」さくらさんに言葉を返したのだ。
「何故、家では飲まないのですか?」さくらさんは、木嶋に聞いたのだ。
木嶋は、
「若いときに、苦い思い出があり、毎日、晩酌はしないので…。」さくらさんに話したのだ。
さらに、さくらさんは、 「こういう場所に来て、日頃のストレス解消をするのが一番いいですよ。」さくらさんは、木嶋に伝えたのだ。
木嶋は、
「生産現場で働いているが、仕事柄、ストレスは溜まりますよ。さくらさんみたく、気が利く女性が彼女なら最高にいいのにね!」木嶋は、さくらさんに伝えたのだ。
「ありがとうございます。私なんか、気が利くなんて私を、過大題評価し過ぎていますよ!」さくらさんは、木嶋に話したのだ。
木嶋は、
「そんなことはないと思いますよ。」木嶋の隣りにいた麻美へ視線を振り向けた。
麻美は、木嶋の視線を感じていたみたいで、さくらさんのことを話したのだ。
「木嶋君、さくらさんは、はるかさんと違い、マジメで良く気が利きますよ!」木嶋に、麻美が説得していた。
そんなにしてまで、《はるかのことが嫌いなのか?》木嶋は、麻美の話し方で理解をしたのだった。
さくらさんは、
「麻美さん、何で、はるかさんを嫌うのですか?」麻美に聞いていた。
麻美は、
「木嶋君から良く相談を受けるが、はるかさんは、不特定多数の男性と交際しているのです。」木嶋とさくらさんに話していた。
木嶋と、さくらさんは、
「そうなの?」軽く受け流していた。
木嶋は、再度、腕時計で時間を確認した。時刻は、午後11時を回っていた。
「富高さん、もうすぐ時間になりますよ。」木嶋が、富高さんに声をかけた。
富高さんは、
「木嶋君、そろそろ帰ろうか。」木嶋に伝え、麻美に、×印のシグナルを出した。
麻美は、木嶋からの×印を出されて、若い男性スタッフを呼んだ。
会計伝票を麻美から木嶋に手渡し、木嶋と富高さんで金額を確認したのだ。
木嶋は、
「お互い、折半でいいかな?」富高さんに聞いたのだ。
富高さんは、
「それでいいよ。」財布を取り出し、木嶋と富高さんは料金を麻美に渡したのだ。
麻美は、会計伝票と共にお金を男性スタッフに渡したのだった。
「ごちそうさまでした。」木嶋と富高さんに、さくらさんと麻美がお礼を言いながら頭を下げたのだ。
木嶋と富高さんは、座席を立ち、リュックとカバンを持ち、店の前にあったエレベーターに乗った。
麻美は、
「また、来て下さい。」木嶋と富高さんに話したのだ。
富高さんは、
「また、麻美さんが辞めないことを祈っています。」そう言いながら、エレベーターを下りたのだった。
関内駅まで、歩いてきた木嶋と富高さんは、電車の時間を確認してから改札口に入り、ホームに上がり、京浜東北線に乗り、
「プルー」と発車ベルが鳴る関内駅をあとにしたのだった。