表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/968

第9話

はるかが、カフェレストラン『F』の中に入ってきた。

「お待たせしました。時間待ちましたか?」と木嶋に尋ねた。

木嶋は、

「10分ぐらいじゃないかな?待っていた時間は…」と、はるかに答えたのだ。

はるかは、

「木嶋さん、前回、来て以来になるのですが、お変わりありませんでしたか?」と尋ねた。

木嶋は、

「そうだね〜。麻美さんから新年の挨拶メールがきたぐらいだね。」と言ったのだった。

「差し障りがないようでしたら見せて戴けませんか!」はるかは、木嶋に聞いた。

木嶋は、携帯を取り出し、麻美からの新年の挨拶メールを見せた。

はるかは、

「麻美さんって、いくつぐらい…なんですかね?」と聞くが…

木嶋は、

「少なからずとも、見た目から20代ではないはず…です。案外、自分と同じぐらいかもね。」と、はるかに言ったのだ。

カフェレストラン『F』

に入ってから1時間ぐらい経過した。

すると、はるかから切り出してきた。

「木嶋さん、そろそろお店に向かいませんか?」

木嶋は、

「そうだね〜、ここを出ようか!クラブ『H』には、連絡してあるのかな?」はるかに、尋ねたのだ。

はるかは、

「お店には、ここに入る前に連絡をしてあります。」

木嶋は、

「連絡してあるなら、大丈夫だね。会計をするから行きましょうか!」と会計カードを持ち、支払いに行ったのだ。

支払いが終わり、店の外にいた、はるかと一緒にクラブ『H』に向かう。

はるかの靴の音が

「カッ、カッ、カッ」とアスファルトに響きながら、その一歩うしろを、木嶋が歩いて行く。

店の前にある鉄の階段を

「カツーン、カツーン、カツーン」と響きながら上って行く。

木嶋が、再び、クラブ『H』に足を踏み入れた。

「いらっしゃいませ。」と威勢の良い挨拶がきた。

席に案内された木嶋は、店員さんから、

「はるかさんが来るまで 少し、お待ち下さいませ。」と促されたのだ。

時間にして、10分ぐらい経ったのだろうか!

はるかが、ドレスアップして木嶋のいる席に就く。

「先程は、ごちそうさまでした。」はるかが、挨拶がわりに言った。

木嶋は、

「どういたしまして。」言葉を返した。

はるかが、店員さんと耳打ちしている。すると、店員さんがケーキを木嶋のテーブルに持って来たのだ。

木嶋の目の前には、大きい蝋燭ろうそくが、3本立ててあったのだ。

はるかが、蝋燭ろうそくに、火をともす。

「木嶋さん、少し、早いですが、誕生日おめでとうございます。」はるかが木嶋に言葉をかけた。

木嶋は、

「ありがとう。」と、はるかに言いながら、蝋燭ろうそくの火を、

「フー」と息をはいて消したのだ。

木嶋は、はるかから、誕生日プレゼントを渡された。

はるかは、木嶋に

「家に帰ったら開けて下さい。」と言うのだ。

木嶋は、

「そうだね。今、ここでプレゼントを開けるのは、失礼に当たるから家に帰ったら開けさせて戴きます。」と、

はるかに、言葉を投げ掛けたのだ。

木嶋は、心の中では、嬉しかったのだ。なぜなら、誕生日を、祝ってもらったことがなかった。

それ以前に、彼女を作りたいと思っていても、心と身体と決断力がなかったのだ。

どうしても、消極的な性格が出てしまっていた。

はるかに、誕生日を祝って戴いたことが木嶋の、その後に、大きな自信と行動力を与えていくのだ。

はるかは、

「前に、聞いたかと思いますが、彼女はいるのですか?」木嶋に尋ねた。

木嶋は、

「彼女はいませんよ!いたらクラブ『H』に来ないと思うし、はるかさんに、誕生日&X'masプレゼントを渡しませんよ!」はるかに、言ったのだ。

「そうですよね!彼女がいたら、その人にプレゼントを渡すのが当然ですよね!」

はるかは、納得した表情になったのだ。

木嶋は、

「はるかさんみたいに、裏表がない人なら最高なんだよね。」と、はるかに伝えたのだ。

はるかは、

「そうですね〜。私も木嶋さんみたいな人とならいいですが、私自身、男性とお付き合いをしたことがあまりないのです。」

木嶋は、

「本当なの!」と、はるかに尋ね、続けざまに、

「はるかさんは、どんなタイプの人が好きなんですか?」と聞いた。

はるかは、

「私自身、太ってる人がタイプなのです。前の彼氏は、太っていました。私に会いに来るために、食費を削って、何日かお店に、通ってまで来てくれました。」木嶋に、話したのだ。

木嶋は、

「自分の彼女がこういう店に働いていて、その人を、好きでも食費を削ってまでは出来ない。前の彼氏は、それが、はるかさんに対しての愛情だったんじゃないかな!自分は、そう思いますが…。」はるかに、聞いたのだ。

「確かにそれは言えますね。」と、はるかは、答えたのだ。

クラブ『H』に、入ってから時間が経過して行く。木嶋が、左手にしている腕時計を覗いた。時間は、午後11時近くになろうとしていた。

木嶋は、

「そろそろ、帰ろうと思いますので会計をお願いします。」と、はるかに伝えた。

はるかは、

「お願いします。」店員さんに声をかけた。

店員さんが、会計カードを、はるかに渡して、はるかから木嶋に、手渡されたのだ。

提示された金額を、木嶋は確認して、はるかに渡し、はるかが、店員さんに渡したのだった。

木嶋は、席を立ち、はるかと共に店の外に出た。

「今日は、ありがとうございました。」はるかは、木嶋にお礼を言った。

木嶋は、

「こちらこそ、ありがとうございました。誕生日プレゼントを戴き、また、ケーキでお祝いしてもらい嬉しかったです。いい誕生日になりました。」はるかに、伝えたのだった。

はるかは、

「夜遅いので、気をつけてお帰り下さい。」言葉をかけた。

木嶋は、

「ありがとう。」と、言葉を返し、鉄の階段を

「カン、カン、カン」

靴の音を響かせて、降りて行く。

発車ベルが

「プルー」と、鳴り響く横浜駅から出て行ったのだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ