第897話
かれんさんは、
「木嶋さん、ありがとうございます。」木嶋にお礼を述べていた。
木嶋は、
「自分のかわいい彼女に出来ることをしないと、《神様》から、《天罰》を受けそうだよ。」照れながら、かれんさんに、今の心境を話していた。
かれんさんは、
「私には、最高の《褒め言葉》ですよ。」木嶋に答えていた。
木嶋は、
「改札の中に入ることは出来ないが、かれんさんから、《パワー》をもらったので、頑張ります。」かれんさんに告げた。
かれんさんは、木嶋から預かった小銭で、横浜駅までのキップを購入したのであった。
木嶋は、かれんさんと別れたくないのが、本音である。
しかし、このまま•••一緒にいたいと言う気持ちに、嘘は•••つけない。
でも、どこかで別れないといけない•••もどかしさが混在していた。
改札を通り過ぎて行く。
かれんさんは、木嶋の方に振り向き•••右手で、応えていた。
木嶋も、同じように•••右手で、かれんさんに応えたのであった。
かれんさんは、《東海道線》の階段を降りて行った。
木嶋は、かれんさんの姿が見えなくなったのを確認して、家に向かって歩き出したのである。
木嶋は、人を送るときは、姿が見えなくなるまで、改札口の外にいる。
中には、別れた直後に、帰ってしまう人が多い。
人それぞれである。
木嶋は、Gパンのポケットから、携帯電話を取り出していた。
家の番号を•••発信履歴から探し出し、《スクロール》した。
「プッ、プッ、プッ、プルー」呼び出し音が鳴り響いていた。
母親が電話に出た。
「もしもし、今•••どこにいるの?」木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「今•••最寄り駅の【自由通路】を歩いています。もうすぐ、家に戻ります。」母親に話していた。
母親は、
「随分、ごゆっくりだったね!夕御飯は、食べたの?」木嶋に問いかけていた。
木嶋は、
「会社の同僚と、22階のお店で食べたよ。お姉ちゃんは、まだ•••帰って来ないの?」母親に聞いていた。
母親は、
「夕御飯を食べたならいいよ。それにしても、お姉ちゃん•••遅いね!どこかで、倒れているんじゃないの?」不安そうに、木嶋に話していた。
木嶋は、
「近場にいるはずだよ。帰って来るときは、お姉ちゃんから、電話がくるよ。それまでは、心配しなくていいよ。」母親を安心させた。
母親は、
「早く帰って来なさいよ。」木嶋に話し、電話を切ったのである。
木嶋は、
「今度は、はるかと会わないといけないな。」自分自身に問いかけていた。
木嶋の携帯が•••
「ピローン、ピローン、ピローン」と鳴り出したのであった。