第896話
木嶋と、かれんさんを乗せた•••《エレベーター》は、21階に停止した。
【ドア】が開いた。
木嶋は、かれんさんの左肩を抱き寄せていた。
10人の団体が、《エレベーター》に乗ってきた。
赤い顔をした年配の人や、若い男性、女性が入り混じっていた。
どうやら•••【新年会】みたいである。
《エレベーター》の【ドア】が閉まった。
あとは、1階に降りて行くだけである。
《エレベーター》が、1階に到着。
21階から乗ってきた•••団体が、先に降りて行く。
木嶋は、かれんさんの身を守っていた。
木嶋と、かれんさんが、《エレベーター》から降りた。
「かれんさんと一緒にいると、気持ちが休まるね!」木嶋は、かれんさんに伝えた。
かれんさんは、
「ありがとうございます。私も、木嶋さんと一緒に居られることが、一番の幸せです。」悪戯ぽく•••舌を出しながら、木嶋に答えていた。
風がないときでも、【ビル風】が吹き下ろしているので、寒さが身に染みる。
木嶋は、
「かれんさん、最寄り駅までは、そんなに歩かないからね。」かれんさんに優しく声を掛けていた。
周りは、《カップル》が多く、みんな•••同じように、彼氏の肩を持たれていた。
最寄り駅の【自由通路】に到着。
ここからは、《エスカレーター》で上がって行く。 関東地方は、《エスカレーター》の右側を開ける習慣がある。
これが、関西地方になると、《エスカレーター》は、左側を開けるのであった。
木嶋は、家族で•••『大阪』、『京都』に旅行へ行ったとき、その違いに《戸惑い》を隠せなかった。
これと似たようなことは•••
《関東地方》では、【マクドナルド】のことを、【マック】と言うが•••
《関西地方》だと、【マクドナルド】のことを、【マクド】と言うらしい。 こうして見ると、同じ日本に住んでいても、略称などでも、違ってくるのが面白いのである。
《エスカレーター》を上りきった。
木嶋は、
「かれんさん、この後•••どうするの?」歩きながら、かれんさんに聞いていた。
かれんさんは、
「どうしましょうかね?」苦笑いをしていた。
木嶋は、
「勉強は、大丈夫かな?」いつになく心配していた。
かれんさんは、
「木嶋さん、大丈夫ですよ。もうすぐ•••卒業になりますからね。」木嶋に笑顔を見せていた。
木嶋は、
「それなら、安心だね。」胸を撫で下ろしていた。
かれんさんは、JRの運賃表を見上げていた。
「横浜駅までは、210円。」バックから、財布を取り出そうとしていた。
木嶋は、そっと•••かれんさんの左手に、小銭を渡したのであった。