第894話
木嶋は、はるかと一緒にいる時間が長くても、
心の奥底から、優しく接して戴いたことがなく、それが、新鮮に映っていた。
「やはり、はるかよりも、かれんさんが、今の自分には、《最高のベストパートナー》なのかも知れない。」そう考えても不思議ではなかった。
若い女性店員さんが、木嶋たちのテーブルに歩いて来た。
「お待たせしました•••こちらが、《会計伝票》です。」木嶋に告げた。
木嶋は、
「ありがとうございます。」若い女性店員さんに答えていた。
かれんさんは、
「木嶋さん、おいくらですか?」木嶋に問いかけていた。
木嶋は、
「会計は•••3860円だね。」かれんさんに話していた。
かれんさんは、
「3860円ですか!折半にしますか?」
「折半にしなくていいよ。」木嶋は、かれんさんの申し出を、やんわり•••断ったのである。
かれんさんは、木嶋の決断を支持していた。
木嶋は、Gパンのポケットから財布を取り出した。
かれんさんは、
「随分•••《年季が入っていますね。》」木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「この財布ね〜。はるかさんからの《誕生日プレゼント》なんだ。」かれんさんに伝えた。
かれんさんは、
「はるかさん、木嶋さんのことを•••大切にしていますよ。」木嶋に話していた。
木嶋は、
「自分自身は、大切に思われていないよ。扱い方が、酷いと思うことも、一度や二度じゃないよ。」
「私は、そう思わない。現実に、財布を《誕生日プレゼント》でくれるなんて•••いませんよ。何を渡そうかな?今から、考えないとね!」かれんさんは、木嶋に告げた。
木嶋は、
「かれんさんからの《誕生日プレゼント》は、何でもいいよ。」かれんさんに答えたのであった。
かれんさんは、
「木嶋さん、会計しましょう。」木嶋に席を立つように促ていた。
木嶋は、かれんさんを追うように、席を立ったのである。
会計をするエリアは、《エレベーター》の近くであった。
最初に、最上階で降りたときは、気がつかなかったが、振り返れば、そこにあったのである。
木嶋が、財布と会計伝票を右手に持ち•••
かれんさんは、【川崎大師】で買った•••《お土産》を両手に持っていた。
男性店員さんが、
「お会計は、3680円です。」
木嶋は、財布を広げ•••
「1000円札がない。仕方ない••《一万円札》で支払いしよう。」男性店員さんに、《一万円札》を預けたのであった。
男性店員さんは、
「《一万円》お預かりします。」レジの中に大切にしまっていた。
どこのお店でも、高額紙幣の取り扱いには、細心の注意を払っている。
金額が合わないと、自己負担になることもあるのだ。
若い男性店員さんは、慎重になっていた。