第88話
麻美は、
「どうして会社の女性たちと話しが出来ないの?」木嶋に問いかけていた。
木嶋は、
「自分の年齢前後の女性たちとは、相性が悪いんだ。」麻美に話していた。
麻美は、
「何故なのかな?」木嶋に聞いたのだ。
「自分の性格が災いしているかも知れません。一人だけ自分が、頭が上がらない女性はいますよ。」木嶋は、麻美に話したのだ。
麻美は、
「木嶋君でも、頭が上がらない女性がいるなんて驚いています。」木嶋の話しに理解を示したのだった。
木嶋の右横には、さくらさんと富高さんが仲良く話している。
仕事の疲れが出てきたのか、《あくび》が出たのだ。
麻美は、
「木嶋君、大丈夫なの?」木嶋に尋ねていた。
「今になって仕事の疲れが出てきました。でも大丈夫ですよ。」
木嶋は、気を取り直して、麻美と会話を始めたのだ。
「麻美さんの店に、自分と富高さんと何度か一緒に行ったことはあるが、酔いつぶれたことは、一度もないよね?」木嶋が、麻美に聞いていたのだ。
「そうですよ。私は、富高さんが酔いつぶれたら介抱しようと思っています。」麻美は、木嶋に答えたのだ。
木嶋は、
「何故か?解らないが…麻美さんと一緒にいると富高さんは、【シャキット】する。玲さんの店だと、雰囲気がいいのか?隣りにいる女性が、飲ませ上手なのかは判りません!その辺りが、自分でも【クエスチョン】なんだよね!行くたびに、酔いつぶれていますね。」麻美に伝えたのだ。
「私の、接客が悪いみたいになっていませんか?」麻美が怒った口調で、木嶋に話していた。
木嶋は、
「そんなことは、言っていないよ!」木嶋が、作り笑顔する表情は、強張っていた。
麻美は、
「今日は、富高さんを酔いつぶしますよ!」木嶋と富高さんに、高らかに宣言した。
麻美の決意表明を聞いていた富高さんは、
「イエーイ!」
軽いノリで右拳を、天に突き上げていた。
そんな富高さんを見ていた木嶋も一緒になって、右拳を突き上げ、
「イエーイ」と叫んだ。
木嶋は、
「富高さん、大丈夫なの?」心配顔で富高さんに尋ねたのだ。
富高さんは、
「何とかなるよ。酔いつぶれたら仕方ないよ。」にこやかな表情を、木嶋に返したのだ。
木嶋の顔には、安堵感が漂っていた。
「麻美さん、自分が酔いつぶれたらどうするの?」木嶋が、麻美に問い掛けたのだ。
麻美は、
「木嶋君には、はるかさんがいるでしょう!」木嶋に冷たい言葉で話したのだ。
木嶋は、
「はるかさんとは、友達であって彼女じゃないよ!」麻美に言葉を投げ返したのだ。
麻美は、
「私が、はるかさんのことでアドバイスをしても聞かないじゃないの?」木嶋に話したのだ。
木嶋は、
「麻美さんが、自分にアドバイスをしてくれていることには、嬉しく思います。最後に、決断するのは自分だと思っているよ。」麻美に話していた。
麻美は、
「そこが、木嶋君らしいよね。」木嶋に伝えたのだ。
木嶋は、右手に持ちそうになっていたグラスを
《ズルッ》と取り損ねたのだ。
木嶋の右隣りにいた、さくらさんが、
「木嶋さんは、面白い方ですね。」笑いながら話しをしていた。
木嶋も、
「いつも、こんな感じですよ。麻美さんの店で飲んでいる時は…ね。」さくらさんに伝えたのだ。
木嶋の左隣りにいた麻美が、席を立ち、富高さんの方に移動していた。
麻美とさくらさんは、打ち合わせをしたような、絶妙なタイミングであった。
お互いの視線で、『アイコンタクト』をしていたのだった。木嶋は、そこまで、は読み切れていなかったのだ。