第874話
かれんさんは、
「木嶋さん、これから、東海道線に乗り、横浜駅を出ますので、もう少し•••お待ち下さい。」木嶋に告げた。
木嶋は、
「了解です。」明るい声で、かれんさんに答え、電話を切ったのである。
横浜駅の東海道線ホームに到着。
かれんさんは、
「もうすぐ、木嶋さんに会えるんだ。何か•••待ち遠しくてね。ここ最近、浮かれ気味かも知れない。襟を正さないといけない。」自分自身を戒め•••
発車ベルが•••
「プルー」横浜駅構内に鳴り響き、
【ドア】が閉まり、発車した。
木嶋は、そんな•••かれんさんの気持ちが、分かっていなかった。
木嶋は、
「お母さん、会社の同僚が、今•••横浜駅を出たので、これから、会いに出かけて来るよ!」母親に話していた。
母親は、
「お姉ちゃんに見つからないように、遅くても、夕方までには、戻って来てね。」木嶋に告げた。
木嶋は、
「なるべく、長居をしないようにします。お父さん、最寄り駅まで、会社の同僚と会って来ます。」父親に伝えた。
父親は、
「うん。行ってきな!」木嶋を《快く》送り出したのであった。
木嶋は、家を出て、軽快な足取りで、最寄り駅に向かった。
時間は、まだ•••午後2時を回ったばかりである。 木嶋は、かれんさんが、到着する前に•••最寄り駅の改札口に到着した。
改札口を出た時計台の前には、大勢の人が、待ち合わせていた。
木嶋は、
「人がたくさんいる。かれんさん、自分を見つけることが出来るのかな?」一抹の不安が過ぎっていた。
木嶋の携帯が•••
「ピローン、ピローン、ピローン」鳴り響いていた。
木嶋が電話に出た。
「もしも〜し、木嶋です。」
「木嶋さん、私、かれんです。今、東海道線のホームを降りて、階段を上っています。どちらにいますか?」かれんさんが、木嶋に問いかけていた。
木嶋は、
「今、改札口を出た時計台にいます。人が多いので、自分を見つけることが、果たして出来るかな?」悪戯ぽく•••かれんさんに答えていた。
かれんさんは、
「木嶋さんとは、何度も•••お会いしているので、心配ないですよ。」電話口(電話口)向こうから、かれんさんの言葉が身に染みていた。
木嶋は、その言葉を聞いて安心したのである。
階段を上りきり、改札口を出た。
木嶋は、かれんさんの姿を見つけることが、出来るのだろうか?
かれんさんは、木嶋の姿を見つけた。
木嶋が、かれんさんに気がつく素振りでは、なかった。
かれんさんは、木嶋の背後に回り、両手で、両目を隠していた。
木嶋は、いきなり両目を塞がれてしまった。