第866話
打撃フォームは、その人に合った•••独創的なものである。
独創的な打撃フォームは、木嶋に、ないのである。
良くやるのは、好きな球団の、有名選手。
【見よう見まね】で、やってはいるが、なかなか•••《しっくり》こないのである。
《変化球》の《バッターボックス》が、空いたので、木嶋は、【木製バット】を持ちながら、勇ましく入って行った。
Gパンのポケットから、財布を取り出し、コイン投入口に入れ、頭に、ヘルメットを着用した。
「良し、平常心で、挑まめば•••大丈夫だ!」心を落ち着かせていた。
《バッターボックス》の一番後ろに下がり、打つことにした。
「カーン」心地よい音である。
「良し、もう一度」
気合いを入れ直したのである。
「カーン」
「うん、この調子でいけば、問題ない。」
ただ、気になるのは、打球が、真正面に飛ばない。
「打球は•••いいのに、ライナー性にならない。ヤバいな•••これでは、《ポップフライ》何が、原因なんだ。不思議だな•••もう少し、前で打てばいいのかも知れない。」 《バッターボックス》の位置を、半歩前に出た。
一番後ろだと、変化仕切った位置なので、投球も、打ちやすい。
半歩前に出たことによって、変化しきる前になるので、空振りをする確率が、非常に高くなる。
そこは、《バット》の始動を、《ワンテンポ》早くすることで、解決するはずだが、今は、そんなことは、考えていなかった。
【木製バット】を構え、《マシン》からの投球を待っていた。
「ヒューン」
ボールを目に慣らすために、見送った。
「先ほどと、感覚的に、変わらないように見える。同じ《タイミング》で打って見よう。」木嶋は、《マシン》からの投球を待っていた。
「ヒューン」
「カッ」
先ほどまでと、明らかに、変化の仕方が違う。
「参ったね。やはり、《変化》しきる前だから、《ズレ》が出ている。修正しよう。」木嶋は、そう思ったのである。
「ヒューン」
《バット》の始動を早くした。
「カーン」打球音が、明らかに違う。
「この《タイミング》だな。もう一球だ。」
「ヒューン」
「カーン」
「いい感じ•••これで、大丈夫だ。この投球が終わっら、家に帰ろう。」一人で呟いていた。
「ヒューン」
「カーン」心地よい。
「次が、ラストになるかな?頑張ろう。」自分自身に、鼓舞していた。
木嶋に、ライナー性打球が上がっていた。
「これで、OKだ。」自分を褒めたのであった。