第865話
人は、追い詰められると、自己暗示すると思っている。
木嶋も、自己暗示をしながら、普段の仕事をこなしている。
《バッティングセンター》の中でも、そんな気持ちでいた。
先ほどと、同じ《タイミング》で打てるかな?
「カーン」
【木製バット】の【真芯】に当たる音が響き渡っていた。
木嶋は、
「うん。この感覚だ。もう一球•••同じ《タイミング》で打てれば、難なく•••《クリア》して、《変化球》の《バッターボックス》に行かないと•••今日は、振り込みかな!」ボヤきつつも、張り切っていた。
左手にしていた腕時計で、時間を確認した。
「もう、午前11時か!《バッティングセンター》に来て、30分ぐらい。身体が温まって来たぞ。《ストレート》の残り球数も、あと•••10球ぐらいだな。ファイト!」自分を鼓舞していた。
周りを見渡すと、人が••一人、また•••一人と《バッターボックス》に入って行く。
木嶋は、
「みんな•••《ガッチリ》しているな。自分と、《パワー》が違い過ぎる。鍛え直さないといけないな!どうやって、身体を《マッスル体型にしようかな?《プロテイン》を摂取する方法もあるし、《フィットネスクラブ》に通う【選択肢】もある。他に、《名案》は、ないのかな?」立ち止まり、思案していた。
「そうだ、会社で廃棄する《ボルト》などを《リサイクル》《リュックサック》の中に入れよう。それには、《ペットボトル》を使おう。」自分自身で納得した。
木嶋が、まだ•••陸上選手をしていたときと同じやり方である。
他に、何か?良いアイデアがあるだろうか?
頭の思考回路をフル回転していた。
少しして•••
「待てよ。《スポーツ用品店》で、《小さい鉄アレイ》を買って、両手に持てば、更に•••効果的だ。」
木嶋は、《鉄アレイ》の購入を決めたのであった。
《ストレート》を打ち終わり、《バッターボックス》から出た木嶋は、自動販売機の飲み物コーナーに歩いて行った。
「《スポーツ》したあとは、良い汗をかいたから、気持ちがいい。」晴れ晴れとした表情であった。
「さてと•••次は、《変化球》のマシンに行こう。」勇ましく歩いて行く。
木嶋は、《バッターボックス》に入って、打っている人の《打撃ホーム》を擬似していた。
人には、それぞれ自分に合った《打撃フォーム》がある。
木嶋には、まだ•••それがないのであった。
すると、一人が個性的な打ち方をしているのに、気がついた。
「こんな打ち方もあるんだ。」感心をしたのであった。