第857話
お姉ちゃんは、カバンから携帯を取り出し、木嶋の番号を、《スクロール》して、発信したのである。
「プッ、プッ、プッ、プルー」呼び出し音が鳴っている。
木嶋は、携帯の画面を覗くと、お姉ちゃんからの着信であった。
車を止め•••電話に出た。
「もしもし、木嶋です。」お姉ちゃんに答えていた。
お姉ちゃんは、
「今、どこにいるの?」木嶋に問いかけていた。
木嶋は、
「もうすぐ、駐車場に着くよ。」お姉ちゃんに伝えた。
お姉ちゃんは、
「もうすぐ•••駐車場に着くのね!判りました。」木嶋に話し、電話を切ったのである。
母親は、
「今、どの辺りにいるの?」お姉ちゃんに尋ねていた。
お姉ちゃんは、
「もうすぐ、駐車場に到着するみたいだよ。」母親に告げた。
母親は、
「あと•••10分か、15分ぐらいで、家に戻って来るね!お茶でも飲むようにしようか!」父親に聞いていた。
父親は、
「そうだね。お茶でも飲もうかね!」母親に伝えた。
一方、木嶋は•••駐車場に到着した。
車を、車輪止めの位置まで下げた。
「自分が、どの辺りにいるか?お母さんが、探りを入れるように、お姉ちゃんに話したんだな!」木嶋は、母親の行動を読んでいた。
【エンジン】を止め、【ドア】を開け、車から降り、【ドアロック】を掛けた。
木嶋は、Gパンのポケットから、携帯を取り出した。
「さて、かれんさんに電話しながら、家に帰るとしよう!」心が【ウキウキ】していた。
かれんさんの携帯番号を、《スクロール》して発信した。
「プッ、プッ、プッ、プルー」呼び出し音から、《待ちうた》に変わっていた。
《待ちうた》とは、呼び出している相手に、音楽が流れている。
その音楽も、人によっては、変えていることが多い。
中には、聞き慣れない音楽が流れているので、違和感を感じることもある。
「中々(なかなか)電話に出ないね!近くにいないのかな?一旦、電話を切ろうかな?」と思った•••
その時、かれんさんが、電話に出た。
「もしもし、かれんです。」
「木嶋です。電話を掛ける•••《タイミング》を逃してばかりで、申し訳ない。」かれんさんに、謝罪した。
かれんさんは、
「木嶋さん、気にしなくていいですよ。私は、連絡が来るのを、心待ちにしていました。」木嶋に答えていた。
木嶋は、
「そう言ってくれると、嬉しいね。」かれんさんに言葉を返したのであった。
かれんさんは、
「私は、木嶋さんの彼女ですよ。」大きな声で、木嶋に話していた。
木嶋は、
「ありがとうございます。」かれんさんに頭を下げたのである。
かれんさんは、
「ママの【ラストイン】まで、日にちがなくなって来ましたね。一日、一日と時間が過ぎて行くたびに、ため息が出ます。このまま、時間が止まればいいと思うときがありますよ!」木嶋に、今の心境を打ち明けた。
木嶋は、かれんさんの言葉に•••頷いたのである。
かれんさんは•••
【ハー】と息を吐いたのであった。