第843話
木嶋は、思案していた。
「永岡さんに、どうすればいいのか?と、問いかけてみるのも、一つの手段。(しゅだん)しかし、会社を辞めてから、連絡を取っていない。《これからは、中国だよ!》と•••【先見の明】と言うか•••先を見据えていたから、日本にいるかは•••判らない。小室さんを通して、探りを入れようかな?こんなときこそ、頼りになる友人がいないのは、痛いな!」
人付き合いが得意な人もいれば、苦手な人もいる。
木嶋は、どちらかと言うと、苦手な方かも知れない。
会社に在籍している人たちは、平均年齢が高い。
木嶋の職場も、同様である。
他の職場を見渡せば、若い人がたくさんいるところもある。
そんな中で、若い人たちが集う場所は•••あるのだろうか?
甚だ•••疑問を抱くのも当然である。
木嶋は、行動に移そうかと思ったとき•••
「ピローン、ピローン、ピローン」聞き慣れない•••着信音が鳴り響いていた。
「誰だろう?」
携帯の画面を覗くと、内海君からである。
「もしもし、木嶋です。」
「あっ•••木嶋さん。内海です。ご無沙汰しています。元気でしょうか?」木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「元気ですよ。連絡をしてくるなんて、珍しいね。今、どこにいるのかな?」内海さんに聞いていた。
内海さんは、
「今、日本にいますよ。」木嶋に言葉を返していた。
木嶋は、その言葉を聞いて•••
「ズルッ」と、コケたのである。
すかさず•••
「今、日本にいるなら、いつまで滞在しているのかな?」単刀直入に問いかけたのである。
内海さんは、
「3月いっぱいは、日本に滞在しています。木嶋さん、小室さんとは、まだ•••付き合いがあるのですか?」木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「まだ、付き合いがあるよ。何で•••?」内海さんに話したのである。
内海さんは、
「小室さんと、飲みに行きたいなと思っているんですよ。連絡をして頂いてもいいですか?」木嶋に同意を求めていた。
木嶋は、
「いいよ。小室さんに、連絡して見よう。今日のうちに、折り返します。それでいいかな?」内海さんに確認をしていた。
内海さんは、
「よろしくお願いします。」木嶋に伝え、電話を切ったのである。
木嶋と、内海さんの出会いは、永岡さん、富高さんと、会社の最寄り駅で飲んだときに、紹介されたのである。
内海さんの職場は、営業であった。
元々(もともと)、中国語が得意で、会社の中では•••発揮出来るところがなく、辞めてしまった。
【中国に骨を埋めます!】
そう言い残し、日本を発って行った。