第83話
木嶋と富高さんは、エレベーターに乗り、地下2Fのホームに降りて行く。
発車ベルが、
「プルー」鳴り響いている。
「ピンポン」と鳴りながら、ドアが閉まったのだ。
木嶋と富高さんは、最後尾の車両に乗り、対面式のシートに座ったのだ。
木嶋は、先ほど、売店で買ったビールを富高さんに手渡した。
「木嶋君、ありがとう。」富高さんは、ビールのプルタブを、
「プシュ」開けたのだ。
木嶋も、ビールのプルタブを開けたのだ。
「お疲れ様。」そう言いながら、ビールを合わせて、富高さんは、飲み始めたのだった。
木嶋は、
「普段から電車の中で、ビールを飲む習慣がないから戸惑いを感じているよ。」富高さんに話していたのだ。
富高さんは、
「木嶋君は、家では飲まないの?」木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「うん。家では飲まないよ!父親に悪いからね。」
富高さんは、
「木嶋君のお父さん、酒は飲むのかな?」木嶋に問い掛けていた。
木嶋は、
「父親は、酒が好きで、肝臓が悪く、医者に止められているんだ。」富高さんに話していた。
富高さんは、
「医者に止められているなら、なおさら、飲まない方がいいよね!」
木嶋は、
「そうだね。飲まない方がいいが、嫌いじゃないから止められていても飲んでしまう。親戚は…酒が好きな人たちばかりだから、一人で長野に行ったりしたら大変だよ。いつも、自分が付いて行くんだ。《お目付け役でね。》長生きしてほしいからね。」富高さんに話したのだった。
富高さんは、
「自分は、小室さんと一緒に帰り道、電車の中でビールを飲むのが日課になっているよ。小室さんは、新川崎駅で降りてしまうが、船橋まで、一人で乗っていると時間は長い。戸塚駅で乗り換えの時に、売店で、小室さんと一緒にビールを買っているんだ。」木嶋に伝えたのだ。
木嶋は、
「戸塚駅で、乗り換えた時にも買っているなんて【ビックリ】したよ。一時期、藤沢駅経由で東海道線で帰った時に、大船駅で、電車待ちの間の時間、売店で買った記憶があるよ。そのことを思い出したよ。富高さん、そんなに飲んだことがあったかな?」
富高さんは、
「小室さんと一緒に帰るようになってから強くなったかな!」
木嶋も、
「二人とも、飲むのが好きだからね。富高さんが通勤時間が長いのは、自分も分かっているからね。」富高さんに話したのだ。
木嶋は、富高さんと話している途中で、今、どの辺りか…駅を見たのだ。
「上大岡駅か…。」
木嶋は、
【今、上大岡駅だよ。】富高さんに伝えたのだ。
「木嶋君、あとどれくらいで着くのかな?」木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「チョット待って下さい。」富高さんに伝え、携帯を取り出した。
《上大岡駅〜関内駅までの時間は、あと12分ぐらいか…》
木嶋は、
【あと12分ぐらいで関内駅に着きますが、麻美さんとの待ち合わせ場所まで時間を考えると、おおよそ20分ぐらいだね!】富高さんに伝えたのだ。
富高さんは、
「木嶋君、麻美さんとの待ち合わせ場所は、分かりやすいのかな?」木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「大通りの交差点にコンビニがあるから、そこに待ち合わせにしたよ。一番、目立つし分かりやすいよ。」
「交差点のコンビニなら分かるよね。早く、麻美さんに会いたいね!」富高さんは、木嶋に話し、頷いていたのだ。
車内アナウンスが、
「次は、関内、関内です。」木嶋と富高さんの耳に聞こえた。
少しばかりホロ酔い気味だが、足取りは、しっかりしていたのだ。
電車が、関内駅に着いた。
ドアが、
「ピンポン」音を立てて開いたのだ。
ホームを歩いて、出口に向かった。
市営地下鉄は、出口は、たくさんあるのだ。
案内板を見ながら、地上出口に向かったのだ。
木嶋と富高さんは、待ち合わせ場所である、大通りのコンビニで、麻美が来るのを待っていたのだった。