第809話
木嶋は、家を出た。
軽やかな足取りである。
「今日は、はるかと•••どんな話しになるんだろう?何か•••気持ちが落ち着かないと言うか•••心臓が、《ドキドキ》して高ぶっているのが分かる。」自分自身の心に、問いかけながら•••
「真美さんの夜の仕事、引退宣言の話題一色になるんだろうな!」恐怖心を抱くのも、無理はなかった。
最寄り駅に到着。
木嶋の携帯が•••
「ピローン、ピローン、ピローン」鳴り響いていた。
《これは、家族からだ。》
木嶋が電話に出た。
「もしもし〜、木嶋ですが•••」
「あっ、お母さんだけど、お父さんに•••昼食を食べさせてくれたんだね。ありがとうね!」木嶋に伝えた。
木嶋は、
「自分も、昼食を食べてから•••横浜に出かけようと思っていたから、お父さんも、どう?と聞いたら、食べるよ!と•••」母親に答えていた。
母親は、
「お母さん、お姉ちゃんと、遊びに出かけても、お父さんのことが、心配だったんだ。なるべく、遅くならないように、帰って来なさいよ。」木嶋に伝えた。
木嶋は、
「用事が終われば、帰ります。何か?横浜で、買う物があれば、電話をするよ。」母親に告げた。
母親は、
「電話を待っているからね!」木嶋に話し、電話を切ったのである。
木嶋は、気を取り直して、改札口を通ったのである。
電光掲示板の時刻表を見上げていた。
「もう〜こんな時間か!東海道線と、京浜東北線との•••《タイム差》は、5分か。微妙だな。こう言うときは、東海道線で行った方が無難だな!」 木嶋は、東海道線のホームに向かった。
土日ダイヤなので、電車の間隔が空いている。
それでも、人はいる。
「みんな、どこかに出かけるんだな!」一人で呟いていた。
「自分も、はるかと話しが終わったら、どこかに•••気分転換に行きたいな!」思わず本音が出ていた。
気分転換の方法は、人それぞれである。
《ギャンブル》で過ごす人もいれば、《ゴルフ》の打ちっ放しに行く人もいる。
木嶋の趣味は、《音楽、映画鑑賞》である。
一人で《カラオケ》に行っても、つまらない。
《カラオケ》は、仲間で行った方が、盛り上がる。
映画は、最近•••観に行っていないので、どの作品が、評価が高いのか?解らない。
木嶋に、洋画は似合わない。
観るなら、邦画になってしまう。
好きな芸能人が出ていれば、その作品を観るのもいいと思うが、普段から、家で、テレビを見ていないから、誰が、旬な人かも、分からないのである。