第799話
木嶋は、《鍋焼きうどん》の蓋を空けた。
湯気が、立ちこめている。
「お父さん、《スープ》が辛かったら•••水を入れて、薄めないとね。」父親に話していた。
父親は、
「今、《スープ》を飲んで見るよ。」
右手で、レンゲを持ち•••スープを、一口飲んだ。
「チョット•••おとうさんには、辛いな!」木嶋に伝えた。
母親は、
「お父さん、《スープ》は•••そんなに辛いの?」父親に尋ねていた。
父親は、
「お母さん、一口、飲んで見れば判るよ。」母親に飲むように、促していた。
母親は、
「お姉ちゃん、私の《レンゲ》を預けるから、《スープ》を取ってくれる?」お姉ちゃんに、《レンゲ》を預けたのである。
お姉ちゃんは、レンゲを持ち、お父さんの《鍋焼きうどん》から、《スープ》をすくった。
それを、母親に渡したのである。
母親は、《スープ》を飲んだ。
「お父さん、塩分が効いていて、辛いね。年齢から言っても、血圧が高くなると、《リスク》が大きくからね。薄めた
方がいいかもね!」父親に答えていた。
父親は、
「お母さんも、そう感じるか?やはり、水を入れて薄めよう。」母親に告げた。
お姉ちゃんは、
「お父さん、水よりも、《お湯》を入れた方がいいよ。」父親に、《アドバイス》をしていた。
父親は、
「それじゃあ•••《お湯》を貰おうかな!」お姉ちゃんに答えていた。
お姉ちゃんは、テーブルの上に置いてある•••釦を押した。
「ピンポン〜」店内に『コダマ》している。
女性店員さんが、
「ご注文をお尋ねいたします。」木嶋に問いかけていた。
木嶋は、
「すいません、《お湯》を頂くことは、出来ますか?」女性店員さんに問いかけていた。
女性店員さんは、
「《お湯》•••ですか?」不思議そうな表情で、木嶋に答えていた。
木嶋は、
「《鍋焼きうどん》の《スープ》が、少し濃いので、薄めたいのです。」女性店員さんに伝えた。
女性店員さんは、
「畏まりました。今、お持ちいたします。」木嶋に告げ、その場を離れて行った。
母親は、
「今の店員さん、驚いた様子で見ていたね。」父親に話していた。
父親は、
「そりゃあ〜•••誰だって、《お湯》を下さいと言ったら驚くよ。」母親に伝え、頷いていた。
木嶋は、
「【関東地方】は、《醤油ベース》で、塩分が効いているからね。【関西地方】は、薄味だよ。その人の特徴を表わしているよ。」父親に話していた。
父親は、
「料理を作っている人は、おいしい物を提供している。人それぞれで、好みの味があるから、ある意味では•••仕方ないね。」木嶋に答えていた。
女性店員さんが、木嶋の元に歩いてきた。
「お待たせしました。《お湯》です。熱いので、気をつけて下さい。」父親に渡した。
父親は、《お湯》を受け取り、《スープ》の中に入れた。
最初、色が濃かった《スープ》が、段々(だんだん)と、薄くなって行く。
父親は、残った《お湯》を、女性店員さんに渡していた。
女性店員さんは、《お湯》を受け取り、その場を離れて行く。