第78話
店の階段を
「カッ、カッ、カッ」靴の音が聞こえたきた。
木嶋は、振り向いた。
はるかが来たのだった。
木嶋のいるテーブルに着いた。
「お待たせして申し訳ないです。」そう話しながら、頭を下げ、椅子に座った。
木嶋は、店員さんを呼び、
「ホットロイヤルミルクティーを1つお願いします。」とオーダーをしたのだ。
木嶋は、
「楽しめたのかな?」はるかに尋ねたのだ。
はるかは、
「ショッピングは楽しいですよ。今回は、私の誕生日とX'masプレゼントを兼ねているので探すのに時間が掛かりましたよ。」
木嶋は、
「前に聞いた時は、『HERMES』のバックが欲しいような話しをしていたので、そのブランドだと思っていたのですが…違うのですか?」はるかに聞いていた。
はるかは、
「HERMESのバックをプレゼントとして欲しいのですが、横浜の高島屋2Fにある『HERMES』ショップを見ていたのですが…木嶋さんから提示された金額で探しました。私が買いたいと思う商品と金額に開きがあったのです。」木嶋に伝えたのだ。
木嶋は、
「高島屋の『HERMES』ショップでは、金額に開きがあったの?」少し困惑気味に、はるかの話しを聞いていた。
続けて、
「はるかさん、どこで『HERMES』のバックを見つけたのですか?」はるかに聞いていた。
はるかは、
「木嶋さん、以前、セレクトショップに行ったのを覚えていますか?」木嶋に尋ねたのだ。
木嶋は、
「知っていますよ。橋の袂にあるセレクトショップですよね?はるかさんから依頼を受けて商品を受け取りに行く時もありますけど…。」はるかに問いかけていた。
はるかは、
「そうです。そこのセレクトショップの2Fには、ブランドコーナーがあるのです。」
「ブランドコーナーね…チョット待ってね。記憶を辿ると去年の誕生日プレゼントを買う時も、はるかさんと一緒に、そこのセレクトショップのブランドコーナーに行ったことがあるよね!」はるかに聞いたのだ。
はるかは、
「木嶋さん、思い出してくれて嬉しいです。ブランドコーナーには、『LOUIS VUITTON』や『HERMES』などを扱っていて、そこに私が欲しい商品があるのです。『HERMES』の3色のバックです。お値段は、木嶋さんが提示した金額よりも、多少出てしまいます。」木嶋にお伺いを立てていた。
木嶋は、
「金額は、いくらぐらいなの?」はるかに聞いたのだ。
はるかは、両手で答えていた。
木嶋も人間である。一瞬、《ムッ》とした表情を見せたのだ。
【どうしようかな?】心の中で揺れていた。
はるかは、木嶋の表情が変わったことに気がついた。
「木嶋さん、予算枠から出たことに怒っていますか?」木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「普通は、怒りますよ。自分は、はるかさんのバックを持ったイメージと、収支バランスを考えています。」はるかに答えたのだ。
木嶋が言う収支バランスとは、車のローン残債があるので、頭の中のコンピューターが忙しくなっていた。
木嶋は、リュックの中から黄色の手帳を取り出した。
はるかは、
「木嶋さん、手帳を取り出してどうなされたのですか?」木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「はるかさんが、ショッピングしている間、来年の収支予測を計算していたのです。それから車の維持費などを勘案して…本来なら《ダメ》と言いたいところですが…今回に限り…《OK》します。」はるかに伝えたのだ。
はるかは、
「木嶋さん、本当に良いのですか?」木嶋に確認をしたのだ。
木嶋は、
「いいですよ。あとは何とかなると思います。」
「ヤッター」はるかの表情が笑顔に変わったのだ。
はるかは、テーブルに運ばれてきたホットロイヤルミルクティーを一口飲んだのだ。
木嶋は、
「はるかさん、『HERMES』のバックを見に行きましょう」はるかに声を掛けたのだ。
はるかは、
「行きましょうか!」席を立ち、コーヒーショップ『Y』を木嶋と一緒に出て行くのであったのだ。