第778話
父親は、立ち上がったときが、一番不安である。
身体が、痩せてので、フラついたように、見えることも•••《しばしば》ある。
木嶋は、父親の背後に回り、支えていた。
父親が、歩き出した。
これで、一安心である。
木嶋は、
「お父さん、もうすぐ•••お母さんたちの元に、到着するよ。」父親に話していた。
父親は、
「やっと、到着するね。」木嶋に答えていた。
母親は、車椅子に座っていた。
母親は、
「お父さん、大丈夫なの?」父親に尋ねていた。
父親は、
「うん。大丈夫だよ。お母さん、車椅子に座っていた方が、楽じゃないか?」母親に問いかけていた。
母親は、
「そりゃあ〜•••車椅子に座っていた方が、楽ちんだよ。歩かなくていいからね。今度は、お父さんが乗ればいいよ。」父親に聞いていた。
父親は、
「うん。そうしようかね!お母さん、膝の調子が悪ければ、まだ•••車椅子に乗っていてもいいよ。」母親に問いかけた。
母親は、
「膝の調子は、《まずまず》かな!途中で、代わってもらうかも知れないよ。」父親に答えたのである。
父親は、
「分かった。」母親に告げた。
飛行機が、短時間の間に、何本も、離発着している。
その姿を見ていると•••圧巻である。
「また、飛行機に乗れる《チャンス》があるはずだと•••」木嶋は、そう感じていた。
お姉ちゃんが、
「お父さん、何か•••飲み物を頼もうか?」父親に聞いていた。
父親は、
「うん、お母さんと、同じでいいよ。」お姉ちゃんに話していた。
お姉ちゃんは、
「お母さんと同じでいいの?甘いよ。それでもいいの?」父親に尋ねていた。
父親は、
「いいよ。」お姉ちゃんに答えたのである。
木嶋は、上空に上がった飛行機を見ていた。
「お父さんと、お母さんを飛行機に乗せたいな!」ボヤいていた。
何かの機会がないと、飛行機に乗るのは難しい。
直近であるのは、木嶋の永年勤続旅行である。
木嶋は、
「果たして、家族が元気にいられるのか?判らないな。」率直な気持ちであった。
父親は、
「あと•••何年で旅行に行けるんだ?」木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「あと•••3年あるよ。」
「あと•••3年もあるのか?お父さん、元気でいられるのかな?」父親は、木嶋にボヤいていた。
母親は、
「お父さん、主治医の先生の言うことを、理解をしないとね。」父親を諭していた。
父親は、
「そうだね。お父さんの会社には、永年勤続旅行がなかったから、行ってみたいよ。」母親に答えていた。
お姉ちゃんは、
「私も、前にいた会社では、永年勤続旅行制度あったが、それが、適用される前に、辞めてしまったからね。今から、家族全員で行かれることを、楽しみにしているんだ。」父親に話したのであった。