第775話
木嶋は、車椅子を押して、【反対側の展望デッキ】に向かった。
「お父さん、ここも、座る場所があるね。」父親に伝えた。
父親は、
「うん。そうだね〜。座る場所があると嬉しいね。お母さんたちは、あと•••どれくらいで来るのだろう?」木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「あと•••15分ぐらいで来るんじゃないのかな?お父さん、お母さんのことが心配なの?」父親に問いかけていた。
父親は、
「うん。お母さん、膝の具合が良くないから、ここに来たら•••お父さんと、交代しようと思っているんだ。」木嶋に告げた。
木嶋は、
「お父さん、お姉ちゃんが一緒にいるから、お母さんのことを考えて、《休み休み》来るはずだよ。一度、連絡をしてみようか?」父親に聞いていた。
父親は、
「うん。電話をしてくれるか?」木嶋の提案に、首を縦に頷いていた。
木嶋は、Gパンのポケットから携帯を取り出し、着信履歴から、お姉ちゃんの番号を、《スクロール》した。
「プッ、プッ、プッ、プルー」呼び出し音が鳴っている。
5回呼び出したが、いつものように、【マナーモード】になっていた。
木嶋は、
「お父さん、お姉ちゃんに電話をしたら、また•••【マナーモード】になっているよ。」父親に伝えた。
父親は、
「お姉ちゃん、また•••電話に出ないのか?一体、何をしているんだ。お母さんの携帯に、電話をしてみたら、どうだろ
う?」木嶋に同意を求めていた。
木嶋は、
「その方がいいかな!お母さんの携帯に、電話をしてみよう。」父親の意見に賛同して、携帯の着信履歴から、母親の携帯番号を、《スクロール》した。
そのとき•••木嶋の携帯に、
「ピローン、ピローン、ピローン」着信音が鳴り響いていた。
木嶋が電話に出た。
「もしもし、木嶋ですが•••」
「電話に出れなくて、ゴメンね。今、お母さんと、【反対側の展望デッキ】に着くよ。どの辺りにいるの?」お姉ちゃんが、木嶋に問いかけていた。
木嶋は、
「今は、お父さんと一緒に椅子に座っているよ。ドアを開ければ、分かると思うよ。」お姉ちゃんに答えていた。
お姉ちゃんは、
「分かりました。もうすぐ•••到着します。」木嶋に伝え、電話を切ったのである。
木嶋は、
「お父さん、お母さんたちは、もうすぐ•••到着するよ。」父親に話し、お母さんたちが来るのを待っていた。
お母さんたちが到着した。
母親は、
「お姉ちゃんに、歩かされたよ。」父親に伝えた。
父親は、
「お母さん、そんなに歩いたのか?」母親に尋ねていた。
母親は、
「お姉ちゃん、見たい《ショップ》ばかりで、お母さんを引っ張り回すんだよ。ここに来るまでに、疲れてしまったよ。」木嶋にボヤいていた。
木嶋は、
「お姉ちゃん、お母さんを歩かしたら、ダメじゃないの?」お姉ちゃんに伝えた。
お姉ちゃんは、
「私にも、少しは•••《ストレス解消》させてくれ!」反省の様子が、全くないのである。
木嶋は、
「お父さん、心配していたんだからね。」お姉ちゃんに話したのであった。