第769話
木嶋は、車のエンジンを始動させ、地下街の駐車場から発車した。
地上に出た。
一路、国道15号線を目指した。
国道15号線の通称は、第一京浜国道である。
人によっては、第一京浜と言う人もいれば、国道15号線などと言う人もいる。
国道15号線を左折して、六郷橋を通り過ぎた。
六郷橋と言えば、正月恒例の箱根駅伝で、鶴見中継所まで、あと•••3キロぐらいなので、各大学のランナーが、《ラストスパート》して、【デットヒート】を繰り広げられるのである。
木嶋は、毎年、自転車で行こうと思うが、寒さに負け、家にいることが多い。
父親は、寒さに強いせいか•••何事もないように、六郷橋まで、自転車で行き、箱根駅伝を観に出かけている。
六郷橋を降りて、最初の交差点を右折。
その道を走ること•••10分。
羽田空港に到着した。
母親は、
「どこに停めようかね?」木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「JALの方にするか?全日空にするか?二者選択だね!」母親に答えていた。
父親は、
「いつも、どっちに行っているんだ?」母親に尋ねていた。
母親は、
「いつもは、JALの方が多いね。お父さんが、
全日空でいいなら、そっちでもいいよ。」父親に答えていた。
父親は、
「いつもと同じ、JAL側にするかね!」木嶋に話していた。
木嶋は、
「JAL側ね!まだ、駐車場まで距離があるから、大丈夫だよ。そこに着いたら、お姉ちゃんを起こさないとね。」父親に伝えた。
父親は、
「そうだね。羽田空港で、ゆっくりするよ。」母親に告げた。
母親は、
「そうしようか!ここ最近、羽田空港に来る機会が多いね。」苦笑いをしていた。
母親が話すように、今年に入ってから、羽田空港へ来る機会が多いのも事実である。 近いと言うのが、何よりの利点なのだ。
東京ディズニーリゾートも、木嶋の家からだと、道路が空いていれば•••30分ぐらいで着く。
チケット代などを勘案してしまうと、どうしても•••羽田空港へ行きたくなってしまう。
父親も、母親も、飛行機に乗ったことがなく、木嶋や、お姉ちゃんは、片手ぐらいは乗った記憶が、微かにある。
両親が、まだ健脚なうちに、飛行機に乗って、【北海道】か、【九州】に出かけたいなと考えていた。
それは、お姉ちゃんも同じであった。 JAL側の駐車場の入口で、駐車券を取り、出発ロビーに繋がる•••【4Fフロアー】に車を走らせていた。
いつ来ても、【4Fフロアー】は、駐車する場所を探すのに、一苦労である。
果たして今回は、どうなのだろう?
【期待】と、【不安】が交錯している。
周りを見渡しても、車を停める《スペース》がない。
木嶋は、
「お母さん、一周しようか?」母親に聞いていた。
母親は、
「そうしなさい。」木嶋に答えていた。