第768話
《インフォメーション》に到着。
木嶋は、
「車椅子を貸して頂き、ありがとうございました。」若いお姉さんに、頭を下げたのである。
若いお姉さんは、
「こちらまで、お持ち頂き、ありがとうございます。」木嶋に答えていた。
木嶋は、車椅子を、《インフォメーション》の若いお姉さんに手渡し、その場を離れて行った。
携帯が、
「ピローン、ピローン、ピローン」鳴り出していた。
木嶋は、
「誰だろう•••?」聞き慣れた着信音である。
「まさか•••?もしもし、木嶋ですが•••!」疑問心を抱き、電話に出た。
「私、はるかです。木嶋さん、元気にしていますか?」
「元気にしていますよ。」木嶋は、はるかに答えていた。
【何て•••間が悪いんだよ。】思わず呟いていた。
木嶋が、急いでいるときに限って、はるかから•••電話がかかってくるのである。
はるかは、
「木嶋さん、今って•••お話しをすることが出来ますか?」木嶋に問いかけていた。
木嶋は、
「ゴメン。今、家族と、地下街へ買い物に出かけていて、これから•••羽田空港に向かうんだ。」はるかとの会話を終えて、家族の元に向かいたいのが、本音である。
はるかは、
「そっか•••羽田空港に、何しに行くのですか?」木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「飛行機を観に行くのです。たまには、ボーとしたいときもあるのです。羽田空港なら、家から近いので•••。今、急いでいるので、30分後に、こちらから•••電話をしますよ。」はるかに伝えた。
はるかは、
「分かりました。電話をお待ちしています。」木嶋に話し、電話を切ったのである。
木嶋は、
「やれやれ、これでわ家族の元に向かわないと•••」一人で、ボヤきながら•••駆け足で地下街の駐車場に向かったのである。
地下街の駐車場に到着。
母親は、
「随分、遅かったね。」木嶋に告げた。
木嶋は、
「車椅子を返して、地下街の駐車場に向かっている途中で、会社の同僚から電話がかかって来たんだ。」母親に答えていた。
母親は、
「タイミングが悪すぎるんじゃないの?電話で、話し込んでいたんじゃないの?」木嶋の行動を読んでいた。
木嶋は、
「電話で、話し込んでいたら、駐車場に着くのが、もっと遅くなっているよ。」母親に伝えた。
父親は、
「お母さん、何はともあれ、帰って来たんだからいいんじゃないか?」母親を宥めていた。
母親は、
「お父さんが言うなら、いいか!」納得した表情である。
父親は、
「お母さん、心配性なのだから、早く帰って来ないと、痩せてしまうぞ。」木嶋に話していた。
木嶋は、
「お父さん、ありがとうございます。」父親にお礼を述べたのある。
お姉ちゃんは、シートベルトを掛けながら、助手席に座り、居眠りをしていた。
木嶋は、
「お母さん、羽田空港に向かうよ。」母親に伝えた。
母親は、
「うん。お姉ちゃんは、居眠りしているが、空港に到着したら、起こせばいいよ。」木嶋に答えていた。