第763話
父親は、
「《インフォメーション》で、車椅子を借りることが出来るか?」木嶋に話していた。
木嶋は、
「《インフォメーション》で、車椅子を借りることは出来るよ。お父さん、心臓が、煽るの?」父親に尋ねた。
父親は、
「うん。《チョット》•••心臓が煽るんだ。少し、休んでいるから、借りてきてくれるか?」木嶋に答えていた。
木嶋は、
「了解しました。お母さんたちにも、連絡を入れようか?近くにいるようなら、借りてきてもらえばいいよ!」
「そうしてくれるか?」父親は、木嶋に答えていた。
木嶋は、
「今、電話をするからね!」父親に告げ、母親の携帯に電話をしたのであった。
「プルッ、プルー、プルー」呼び出し音が鳴っている。
なかなか電話に出る気配がない。
木嶋は、
「お父さん、お母さんの携帯に、掛けても出ないから、お姉ちゃんの携帯に掛け直すよ。もう少し、我慢が出来るかな?」父親に聞いていた。
父親は、
「うん。我慢するよ。」木嶋に答えていた。
木嶋は、
「お父さん、悪いね。」父親に話し、携帯の履歴から、姉の電話番号を、《スクロール》した。
「プルッ、プルー、プルー」呼び出している。
「お父さん、お姉ちゃんも、携帯に出ないよ。」困り顔で、父親に話したのだ。
父親は、
「お母さんと、お姉ちゃん、何をしているんだ。」憤りを隠せずにいた。
すると•••木嶋の携帯が、
「ピローン、ピローン、ピローン」鳴り出していた。
慌てて、電話に出た。
「もしもし、木嶋です。」
「お母さんだけど、電話くれた?」木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「電話したよ。お母さんたちは、今•••どの辺りにいるの?」母親に答えたのだ。
母親は、
「お母さんたちは、《インフォメーション》の近くにいるよ。何で•••?」不思議そうに、木嶋に問いかけたのだ。
木嶋は、
「今ね•••お父さんと一緒に、お姉ちゃんが良く行く、パン屋さんに向かっている途中ですが、心臓が煽るみたいで、椅子に座っているんだ。《インフォメーション》の近くなら、車椅子を借りて来て欲しいんだ。」母親に頼んだのだ。
母親は、
「お父さん、心臓は、大丈夫なの?」心配そうな声で、木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「お父さん、休んでいるから、大丈夫。仕事復帰したときに、新しいパンを開発したいと言っているんだ。その勉強を兼ねて行くんだ。」母親に告げた。
母親は、
「お父さん、仕事熱心なのはいいけど、身体が大事だよ。」木嶋に答えていた。
木嶋は、
「お父さん、仕事人間だしね。」頷きながら話していた。
母親は、
「お姉ちゃんと一緒に、《インフォメーション》に行って、車椅子を借りて行くから、そこを動かないで、待っていてね。」木嶋に伝え、電話を切ったのである。
木嶋は、
「お父さん、お母さんたちが、車椅子を借りてくるから、もう少しの辛抱だよ。」父親を激励したのであった。