第76話
木嶋は、
「そうだね!浮ついた気持ちで仕事をしていたら《ケガ》をする。溝越さんに言われるのは自分だしね。」三谷さんに、会社の中で話していたのだ。 三谷さんも、
「そうだぞ。もし、木嶋が、本当に、はるかさんのことが好きなら、どこかで、自分の想いを伝えた方がいいよ!」木嶋に話したのだ。
木嶋も、頷くしかなかったのだ。
三谷さんは、木嶋の性格を熟知をしていた。仕事も同じ職場だった。
木嶋から見たら、少し年齢が離れた…『お兄さん』だった。
20世紀は、三谷さんたちとは、良く遊びに行ったが、最近は、飲みに行く回数も減ってきていた。
会社の午後3時を告げるチャイムが、
「キーン、コーン、カーン、コーン」鳴っていた!
木嶋は、後のことを、三谷さんにお願いをして、ロッカーに行き、着替えを済ませて、会社の正門を出たのだった。
普段は、会社の送迎バスが出ているが、臨時出勤の時は、夕方5時のバスしかなかったのだ。
会社の前にも、会社の最寄り駅まで行く路線バスのバス停があるが、
木嶋は、
「会社の前の路線バスの時刻表は、時刻表ではない。予定表だ!」そう言う自負があるのだ。
現実に、木嶋が、会社の前の路線バスのバス停で待っていても、
【待ちぼうけ】が多く、木嶋が、《イラつく》のは、当然であったのだ。
木嶋は、隣の会社の横からも、最寄り駅まで行く路線バスの本数が多く出ているのを、三谷さんから情報を得ていた。その場所まで歩き出したのだ。
歩き出してから5分ぐらい経過したのだろうか?
いつもなら、会社の前の時刻表通りに来ないはずの路線バスが、木嶋の横を通り過ぎて行く!
【こんな時に限って、時刻表通りに来るなんて、ツイていないな!】木嶋は、自嘲気味に、ボヤいていたのだった。
隣の会社の路線バスのバス停に、木嶋は到着したのだ。
「そんなに待たなくても、バスは来そうだ。本数も多いし…。約束の時間前までには着くかな?」木嶋は、腕時計を見ながら、路線バスが来るのを待っていた。
バスに乗り、最寄り駅まで向かっていた車内で、
木嶋の携帯が、
「ピローン、ピローン、ピローン」はるか専用の着信音が鳴っていた。
木嶋は、鳴り響く携帯を無視することが出来ずに、電話に出たのだった。
「もしもし、木嶋ですが…。」はるかに伝えたのだ。
はるかは、
「はるかです。今、どちらですか?」いつもより、ハイテンションな声で、木嶋に尋ねたのだ。
木嶋は、
「今は、会社の最寄り駅までの行く途中で、路線バスに乗っています。」はるかに話したのだ。
はるかは、
「バスの中とは知らずに、電話をしてゴメンナサイ!最寄り駅に着いたら連絡を下さい。待ってま〜す。」と木嶋に謝罪をしていた。
木嶋は、小さい声で
【判りました。】はるかに伝え、電話を切ったのだ。
はるかが、いつも以上に上機嫌だった。
木嶋は、思っていた。
「今日、誕生日プレゼントを買いに行くのだから、機嫌が良いはずだよね。後は、時間通りに来るのかな?」心配なことは、はるかが、時間にルーズなのが気に掛かっていたのだ。
路線バスが、最寄り駅に着いた。木嶋は、距離別運賃表を見ながら、
「えっと、運賃は…180円。」整理券と一緒に、料金を支払ったのだ。
木嶋は、両親の故郷に、東京、新宿駅から電車に乗り、故郷に着いてから、実家に行くまでに、小学生ぐらいまでバスに乗っていた記憶があり、距離別の運賃表を採用していたので、その時の記憶を辿りながら、運賃表を見たのだった。
木嶋は、最寄り駅に着いたので、はるかに電話をしたのだった。
「ピローン、ピローン、ピローン」呼び出し音が鳴っている。
はるかが、電話に出たのだ。
「もしも〜し、はるかですが…。」
「木嶋です。これから会社の最寄り駅を出ますから待っていて下さ〜い。横浜には、40分ぐらいで到着しますので…。」はるかに伝えたのだ。
はるかは、
「横浜に着いたら連絡を下さい。」木嶋に話したのだ。
木嶋は、
「分かりました。」と、はるかに伝え、
はるかは、
「待ってます。」電話を切ったのだ。
木嶋は、最寄り駅から電車に乗り、
発車ベルが、
「プルー」と鳴り、ドアが閉まり、木嶋を乗せた電車が発車したのだった。