第757話
最寄り駅に到着した。
木嶋が、不安を抱えるのは、今に始まったことではない。
はるか、かれんさん、麻美、玲さんと遊ぶにしても、そうだったのである。
「パン」電車のクラクションが、駅構内に鳴り響いている。
「やっと•••電車が来たか!」
「フー」と息を吐いた。
「正月早々(しょうがつそうそう)から、疲れちゃったな!こんな状態で、今年一年、身体が持つのかな?」木嶋は、自分自身の体調に、不安を抱えていた。
「ピンポン」ドアが開いた。
「ドアが閉まります。ご注意下さい。」
「ピンポン」と音が鳴り、ドアが閉まった
「まともに考えたら、はるかと、【バレンタインデー】を過ごしたことがない。かれんさんの気持ちに応えたいな!どうすればいいのだろう?正直、悩ましい」これが、今の心境である。
「間もなく、横浜〜、横浜です。」車内アナウンスが聞こえてきた。
「もう、横浜に着くのか!電車に乗っていると、アッと言う間だ。早く、家に帰らないと、身体の疲れが取れなくなる。」一人で、ボヤきながら、降りる準備をしていた。
そのとき•••
【キー】と《急ブレーキ》を掛けた音が聞こえていた。
「何だろう?」
木嶋が戸惑いを隠せなかった。
「ピンポンパンポン」
「ご案内致します。先ほど、緊急停止を知らせる信号を受信しました。只今、確認を行っておりますので、ご乗車のまま•••お待ち下さい。」女性車掌による車内アナウンスがあったのだ。
「何だって•••もうすぐ、横浜駅に到着寸前で、《足止め》か•••ツイていないな!」一人で呟いていた。
電車に乗っていれば、どこかで•••トラブルが起きても、不思議ではない。
木嶋も、一年間を通じて、何度か•••遭遇したことはある。
乗車している電車が、【人身事故や、車両トラブルに巻き込まれたことはない。】
「今年は、まだ始まったばかりで、みんなが浮かれているから、緊急停止を知らせる釦を押す人がいるはず•••」そう考えるようにしていた。
中には、《悪戯》で押す人もいる。
再び•••
「ピンポンパンポン」と、車内に鳴り響いていた。
「先ほどの、緊急停止を知らせる信号を受信。近くの電車を走行していた車掌が、確認に行ったところ、異常がないと報告を受けましたので、間もなく、運転再開を致します。お急ぎのところ、お詫び致します。」車内アナウンスがあったのである。
木嶋は、
「何も、異常がないなんて、あり得ない。正月から、騒がしいな!」
「ハー」と漏らしていた。
「やっと、車内缶詰状態から、解放されるな!」
木嶋は、携帯を右手に持ち•••
横浜駅発のJRの時刻表を確認していたのであった。