第74話
人は、何処かにウィークポイントがあるのだ。
木嶋の場合は、富士松さんとはるかであった。
はるかとの友達としての付き合いは、長くなっているが、自分にとっては、学ぶことが沢山あるのだ。
ただ、富士松さんへの想いは、木嶋の一方通行なのだ。
木嶋は、去年のX'masは、はるかと出会った直後で、何も期待はしなかった。
心の中では、はるかや富士松さんから、《X'masや誕生日プレゼント》を《貰えるかも知れない》と言う期待感を持っていたのだ。
木嶋は、はるかから、今年の誕生日プレゼントに、香水をプレゼントされたのだ。
誕生日プレゼントを、女性から貰ったのは初めてだった。それまでは、女性と交際をしたことはあるが、短期間で終り、長続きはしなかったのだ。
木嶋は、普段から香水を使えば問題はない。
職業柄、香水を使う職場ではないので困惑をしたのだ。使う場面がなく、ロッカーの中で眠っていた。
木嶋は、麻美や玲から、『X'masパーティー』の誘いをメールや電話で、話しを聞いていたのだ。
いつものハイテンションの木嶋なら、『X'masパーティー』に【参加する】と返事をするが、
【不参加】の返事をした場合は、木嶋の興味が薄れているのだ。
また、何処かに、一抹の【淋しさと不安】を感じているのだ。
木嶋は、携帯を取りだし
「はるかさんに、X'masの予定を聞いて見よう。」メールを打ちはじめた。
「はるかさん、X'masの予定はあるのですか?」はるかに、メールを送信したのだ。
X'masまで、あと一週間。
「はるかさんとX'masを過ごして見たいな!」木嶋のささやかな希望だった。
「富士松さんにも、打診はしたいが、時間が、足りないかな?あからさまに、当てつけに思われてしまう…。」木嶋の思いやりであった。
木嶋は考えていた。
「X'masに、告白するのも、一つの手段かな!しかし、X'masに予定があった場合に、気持ちが揺れ動いた状態で、出かけるのは、相手の気持ちを踏みにじむような気がしてならない。」心の中では、再び、ジギルとハイドの戦いが始まったのだ。
木嶋は、自分自身に決断を求めていた。
「富士松さんとは何処かで、一日、会う時間が欲しいな!そうなれば最高なんだよね!」どうすれば良いかと心の中の自分に問いかけたのだった。
【こんな時に、流れ星が出てこないかな?】
木嶋は、家に帰る道を歩きながら、夜空を見上げた。
すると、「キラン」と流星が流れていた。
流星が流れ消えるまでに、3回、同じ願いを言うと、願いが叶うと伝えられているが、一瞬の出来事で、願いを言う前に消えてしまったのだ。
「願いを叶えるチャンスを失ってしまった自分が悔しい。」木嶋は、自分を責めていたのだ。
再び、夜空を見た。
もう一度、流星が流れた
「チャンスだ!」木嶋は、願いを言う前に流れ消えてしまったのだ。
木嶋は、
「残念、無念」努力はしたが、願いを言えなかったのだ。
家に帰り、風呂から上がり、携帯を覗くと、一通のメール着信があったのだ。
それは、はるかからのメールだった。