第739話
若い女性は、
「パパさん、気になさらなくていいですよ。」笑いながら、木嶋に話していた。
智君は、
「僕、パパと、ここに並んでいたとき•••お姉さんの笑顔が、好きになったんだ。」若い女性に伝えた。
若い女性は、
「ありがとうね。小さな子どもに、褒められると、お姉さん•••嬉しくなっちゃうな!何か?《サービス》しちゃおうかな?」智君に言葉を返していた。
木嶋は、
「この子は、自分の気持ちに正直なので、お姉さんに、本当のことを話したのです。」若い女性に答えていた。
若い女性は、
「パパと、ママの教育が、【しっかり】しているのですね。」木嶋に話していた。
智君は、
「お姉さん、早く《広島風お好み焼き》を下さい。僕、お腹が空いているんだ。」若い女性を急かしていた。
若い女性は、我に返り•••
「ゴメンなさい。これ•••《広島風お好み焼き》です。熱いので、気をつけて帰ってね!」智君に、《ウインク》しながら、手渡した。
智君には、その意味が解らなかった。
木嶋は、
「智君、お姉さんに《バイバイ》しないと•••。」智君に手を振るように話していた。
智君は、
「うん。お姉さん、頑張ってね!」左手を上げ、大きく振っていた。
若い女性は、
「ありがとうね!」大きな声で、智君に答えたのである。
木嶋は、智君の右手を握りながら•••
「智君、ママと、菜摘ちゃんの元に急ごう!」智君に同意を求めていた。
智君は、
「うん。」笑顔に変わった。
木嶋は、かれんさんの待つ•••テーブルを探していた。
かれんさんが、右手を振った。
それに、気がついたのは、智君であった。
「パパ、ママが手を振っているよ。」木嶋に伝えた。
木嶋は、
「あっ、本当だ。パパ•••気がつかなかったよ。お待たせしました。」かれんさんに告げた。
かれんさんは、
「パパ、遅いですよ。動物の麒麟のように、首が長〜くなり過ぎて、待ち疲れました。」木嶋に伝えた。
木嶋は、
「人気のある屋台で、かなりの行列だったよ。」かれんさんに答えていた。
かれんさんは、
「智君は、長い時間•••待ち疲れなかったのかな?」智君に尋ねていた。
智君は、
「僕は、大丈夫だよ。妹は、大丈夫かな?」かれんさんに聞いていた。
かれんさんは、
「菜摘ちゃんね。さっきまで、起きていたよ。今は、寝ているよ。パパたちが、戻ってきたら•••起こしてと言っていたよ。起こしても、大丈夫かな?」不安な表情が、顔に出ていた。
無理もない。
屋台に、並んでいた木嶋たちは、待ちくたびれたことは多々(たた)ある。
かれんさんが、
「菜摘ちゃんを起こそうか?」智君に問いかけた。
智君は、
「そうしよう。妹も、お腹が空いているはず•••早くしないと、冷めてしまうよ。」かれんさんに答えていた。
かれんさんは、
「じゃあ•••起こしましょう。菜摘ちゃん、パパたちが、戻って来たよ。」菜摘ちゃんの耳元で囁いていた。
菜摘ちゃんが、起きた。
「ママ、お兄ちゃんが•••帰って来たの?」かれんさんに尋ねていた。
かれんさんは、
「今、目の前に•••パパと一緒にいるよ。」菜摘ちゃんに伝えた。
菜摘ちゃんは、目を擦りながら、覚ましたのである。
「お兄ちゃん、遅いよ。待ちくたびれて、ママの膝の上で寝ちゃったよ。」智君に話していた。
智君は、
「焼くのに時間が掛かり、遅くなって、ゴメンね。温かいうちに食べよう!」菜摘ちゃんに告げた。
菜摘ちゃんは、
「うん。美味しそうな匂い。早く食べたい。」智君におねだりした。
かれんさんは、
「みんなで、食べようね!」手際よく、割り箸で、半分ずつ、切ったのであった。