第713話
かれんさんは、
「《繰り上げスタート組》には、木嶋さんが、注目している《チーム》がありますよね?」木嶋に問いかけていた。
木嶋は、
「うん。あります。この【ニューイヤー駅伝】に出場したのは、今回を含めて•••2回目かな?去年、初出場で、《繰り上げスタート》を経験しているからね。まずは、【完走】を目標にしていると思うよ。」かれんさんに伝えた。
かれんさんは、
「そうですよね!出場回数を重ねて行けば、強くなりますよね?」木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「出場回数を、ただ重ねても強くなるとは、限らない。その《チーム》が努力をしないとね!20代の頃は、《若手のランナー》が、3.4人いて、《壮年のランナー》も、同じぐらいいたのかな•••?自分が、走らなくなったと同時ぐらいかな•••?1人、また•••1人と《ランナー》が、辞めてしまい、会社自体が、《スポーツ》に熱心ではなく、資金も、投資しないので、一気に•••弱体化して行きました。だからこそ•••その《チーム》には、頑張ってもらいたいんだ。」かれんさんに熱く•••語っていた。
かれんさんは、
「木嶋さんの想いが、詰まっているのですね!」木嶋に答えていた。
《実況アナウンサー》が•••
「《繰り上げスタート》した《5チーム》が、残り•••15キロ地点を通過していきました。どこの《チーム》が、飛び出して行くのでしょうか?襷は、繋がりませんでしたが、最終区は、《自チーム》の《予備襷》を使用しています。頑張って•••《フィニッシュ》まで、辿りつけてもらいたい。」
かれんさんは、
「木嶋さん、《繰り上げスタート》した《チーム》が、残り••15キロですよ。」木嶋に話していた。
木嶋は、
「残り、15キロ•••か!まだまだ、時間が掛かりそうだね。《トップチーム》は、どの辺りを走っているのだろう?」かれんさんに尋ねていた。
かれんさんは、
「今、画面が切り替わりましたよ。あと•••1.5キロです。」木嶋に告げた。
木嶋は、
「あと、1.5キロね!随分•••一番最後を走っている《繰り上げスタート組》とは、かなりの距離がついていたんだね。それだけ、《トップ》を走っている《チーム》の《ランナー》たちが、努力をした証です。」頷いていた。
かれんさんは、
「私も、木嶋さんに努力をしないといけませんね!」木嶋に話していた。
木嶋は、
「何を努力するのかな?」悪戯ぽく•••かれんさんに問いかけていた。
かれんさんは、
「木嶋さん、判っているのに•••意地悪ですよ。」苦笑いをしながら、木嶋に話していた。
木嶋は、
「意地悪をして•••ゴメンね!」かれんさんの身体を寄せた。
かれんさんは、木嶋の右肩に、頭を預けた。
木嶋は、何も言わずに、【ニューイヤー駅伝】を、黙って見ていた。
かれんさんは、
「ずっと•••私の側にいて下さい。」木嶋に嘆願していた。
「うん。」木嶋は、頷いたのである。