第7話
はるかに、誕生日プレゼントをしてから数日後に、木嶋の携帯が、
「ピローン、ピローン、ピローン」と、はるか専用の着信音が鳴り響くのだった。
木嶋が、電話に出た。
「もしもし、木嶋ですが…。」
「木嶋さん、私です、はるかです。先日は、誕生日プレゼントを戴き、ありがとうございました。今日は、お店のX'masイベントに参加して戴きたくて、連絡を致しました。考えて頂けたのでしょうか?」と、木嶋に尋ねた。
木嶋は、少し時間が経過してから
「今回の、X'masイベントに参加は見送らせて頂きます。」と、 はるかに伝えたのだ。
はるかは、残念そうに、
「え〜、来て戴けないのですか?」と言ったのだ。
木嶋は、
「今回は、はるかさんと知り合って時間が経ってないので、ご理解して下さい。次回は、考えますので…」
はるかに、伝えたのだ。
はるかは、
「分かりました。次回、お店のイベントがあれば、誘いますね。来月13日の木嶋さんの誕生日は、お祝いしますので、時間を空けて下さいますか?お願いします。」
はるかからの要望だった。
木嶋は、
「手帳を見るからチョット待って下さい…。13日は、日曜日なので、11日の金曜日にして戴きたいのですが…。」と、はるかに答えたのだ。
はるかは、
「11日の金曜日ですね。分かりました。時間を空けておきます。その時に、誕生日のお祝いをさせて戴きますね。年が明けてから、待ち合わせなどを、決めていいでしょうか?」と答えたのだった。
木嶋は、
「分かりました。」と答え、電話を切った。ふと、息を
「フー」と吐いた。木嶋は、心の中で確信を持ったのだ。
「もう、はるかと、会うことはないと、思っていたのに、時間を作ってくれるなんて…それが、誕生日を祝ってくれる…なんでだろう?」と呟いていた。
「もしかしたら、はるかは、自分に対して好意を持っているのかな!」木嶋は、そう考えるのだった。
木嶋は、嬉しくなって、麻美の携帯に電話をした。
「プルッ、プルー、プルー」
呼び出している。
麻美とは、メールをしていても、携帯で話す機会がなく時間だけが過ぎて行った。
麻美が電話に出た。
「もしもし、麻美です。」
「もしもし、お久しぶりです。木嶋ですが…麻美さん、お元気ですか!」木嶋は、話したのだ。
麻美が、
「木嶋さん、随分、久しぶりですね。お元気そうでなりよりです。今日は、どうなされましたか?」と答えてきた。
「久しぶりに、麻美さんの声が聞きたくなってね。電話をしたんですよ。新しいお店の居心地はいかがですか?」木嶋は、麻美に尋ねた。
麻美は、
「随分、嬉しいことを話してくれますね。ありがとうございます。はるかさんとは、どうですか?上手くいっていますか?」と、言葉を返してきた。
木嶋は、
「この間の土曜日に、はるかさんと、デートしました。誕生日プレゼントとX'masプレゼントを渡したんだ。」と、麻美に答えたのだ。
麻美は、
「木嶋さん、はるかさんに、プレゼントしちゃダメですよ。はるかさんは、木嶋さん以外の人にも、おねだりして色んな物を買って戴いているんですよ。今回は、仕方ないですが、次は、気をつけて下さい。」麻美が、木嶋に指摘したのだ。
木嶋は、
「そうなの…?」と、言い返した。
麻美は、
「木嶋さん、誕生日は、いつなのですか?」と木嶋に聞く。
「誕生日は、1月13日ですが、日曜日なので、11日の金曜日に、はるかさんが祝ってくれるみたいだよ。」木嶋は、麻美に言ったのだ。
「そうですか!私の店にも、1月中に来て下さい。誕生日のお祝いをさせて戴きたい…。いいですか?」麻美が、木嶋に問いかけたのだ。
木嶋は、『そうだね〜。1月25日ならいいですよ。先日、麻美さんの隣に座っていた…富高さんを覚えていますか?』
麻美が、
「千葉から来ている富高さんですよね。覚えていますよ!」と言うのだ。
「富高さんに、1月25日のことは話しますので、分かりましたらメールか電話のどちらかにします。」麻美に伝え、
「連絡を待ってます。」と麻美は言い、木嶋は、電話を切ったのだった。
木嶋は、麻美から、はるかの意外な一面を聞いて驚いた。
「そんなとこがあるとは…。」心の中でボヤいたのだった。
人には、長所と短所がある。短所ばかりを見るよりは、長所を見た方がいいのだと、木嶋は、感じたのだ。
翌日、会社に行き、木嶋は富高さんに話したのだ。
「富高さん、1月の25日は、予定が空いていますか?」と聞いた。
富高さんは、
「空いているよ。何で…?」
「麻美さんの店に行こうよ!向こうも会いたがっているから…。」木嶋は、富高さんに話したのだ。
「じゃあ、行こうか!1月25日だね。また、近くになったら言ってよ!」富高さんは、木嶋に伝えて、別れたのだった。
木嶋が、麻美に電話した。
「プルッ、プルー、プルー」と呼び出し音が鳴っている。
木嶋は、
「富高さんに、話しをしました。1月25日、OKになりましたので店に行きます。」と、麻美に言った。
麻美は、
「お待ちしています。」と、答えて電話を切った。
木嶋は、振り返った。
「今年の終わり、二ヶ月は、忙しいな!」
そんな思いをしながら、除夜の鐘が
「ゴーン、ゴーン、ゴーン」と、
鳴り響くのだった。