第696話
《レース》は、木嶋が読んでいた通りの展開になっていた。
「後続の《ランナー》の《ペース》が、上がるどころか•••段々と引き離されている。《第2区》の《襷》を渡すまでに、《タイム差》が、開きそうだよ。」木嶋は、かれんさんに話していた。
かれんさんは、
「なぜ、解るのですか?」木嶋に問いかけていた。
木嶋は、
「練習を豊富に積んでいる陸上選手でも、距離が長くなれば、体力を消耗して来ます。《マラソン》にしても、《駅伝》にしても、難しいところはあるよ。」かれんさんに話していた。
かれんさんは、
「それだけ•••大変なのですね!中継所から、後続の選手が追い上げることも、ありますか?」
「それも、あります。長い距離を、最初から《ハイペース》で走ると、《スタミナ》が温存して•••《ラストスパート》で勝負するのも、《あり》ですよ。」木嶋は、かれんさんに答えていた。
かれんさんは、
「楽しみです。」木嶋に話しながら、【テレビ】に釘付けになっていた。
《第1区》で、【トップ】のランナーが、《第2区》の中継所まで、あと•••100㍍。
依然として、2人の選手が並走している。
木嶋は、
「このまま、《第2区》の中継所まで、行きそうだね!」かれんさんに呟いていた。
かれんさんは、
「《ラストスパート》で、どちらが•••先に出ますかね?」木嶋に尋ねていた。
木嶋は
「2人の表情を見ると、かなり•••苦しそうに見える。もう、余力がないと思う。」かれんさんに伝えた。
《第2区》の中継所まで、残り•••わずか。
両者【襷】を両手に持ち、同時ランナーに渡した。
走り終わった瞬間に、身体が崩れて行く。
チーム関係者•••2人が、選手の身体に、スポーツタオルを掛け、両腕を抱えながら、チームの待機場所まで、運んで行った。
持てる力を出し切ってしまっているので、なかなか立ち上がるのは、難しい。
その苦しさは、木嶋自身が、一番理解をしている。
かれんさんは、
「木嶋さん、後続のランナーの人たちが、続々(ぞくぞく)と、中継所に来ますね。一斉に走って行きますよ!」木嶋に告げた。
木嶋は、
「先に行った選手たちは除いて、そんなに《タイム差》がないから、追いかけるのも、楽だよ。」かれんさんに答えていた。
かれんさんは、
「確かに、集団で来ていたので、追いかけるのもいいですね。選手から見たら、目標があれば、《ペース》を掴みやすいですよね!」木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「それはあるね。まだまだ、上位争いは、激しくなるよ。」かれんさんに予告したのであった。