第69話
みんな一つの共通点を、突破口にしながら飲んでいると話しが盛り上がっていく。
木嶋は、気がついたのだ。
共通点と言うのは、自分から探し出しさえすれば見つかると思っていたのだ。
木嶋とはるかの趣味に、共通点はない。
しかし、出会ってから一年を過ぎても、今だに新鮮な気持ちを持て続けている自分に褒めていたいのだった。
木嶋には、はるかの存在が確かに大きい。麻美や玲も、同じ同世代と言う安心感と価値観が共有が出来ているので、木嶋のプライベート環境が整って行く。
木嶋は、腕時計で時間を確認した。時刻は、午後4時過ぎであった。
「この時間なら、玲さん、起きているはず…」心を弾ませながら、思い立ったように、携帯を取り出し、玲に電話をかけたのだ。
「プルッ、プルー、プルー」呼び出し音が鳴っている。
木嶋は、
「おはようございます。」玲に聞こえるように声を出したのだ。
玲は、
「おはよう。お久しぶり…。」寝ぼけた声で電話に出たのだ。
木嶋は、携帯を片手に持ち、ズルッとズッコケたのだ。
「玲さん、まだ寝ていたのですか?」玲に問い掛けていた。
「うん、まだ寝ていたんだ!木嶋君の電話で起きてしまいました。」玲は不機嫌そうに木嶋に怒っていた。
木嶋は、
「玲さんの声が聞きたくてね。電話したんだ。」
玲は、
「当たったみたいで…ゴメンね!」木嶋に謝罪をしていた。
「玲さん、映画は観るのかな?」木嶋は玲に聞いていた。
玲は、
「映画?映画は観に行きますよ!何か良い話しでもあるの?」木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「実は…映画のチケットを、地元のチケットショップで見つけて、衝動買いをしてしまいました。」玲に話したのだ。
玲は、
「何枚ぐらいあるのかな?」木嶋に問いかけていた。
「少し待って下さい。」玲に話しながら、財布の中に入れてあった映画のチケットを数え始めたのだ。
「1…2…3…4…5」全部で10枚あったのだ。
木嶋は、
「全部で、10枚ありますよ。」玲に話したのだ。
玲は、
「えっ、全部で10枚もあるの?全部、私に戴けるのかな?」驚きながら木嶋に話していたのだ。
「全部は渡すことは出来ませんが…何枚か欲しいと言って戴けるなら譲りますよ。」木嶋は、玲に話したのだ。
玲は、
「木嶋君、3枚ぐらい譲って欲しいな…。」
木嶋は、
「3枚ですね。了解しました。いつ渡せばいいかな?」玲に問いかけた。
「木嶋君が、私のいる店に来た時でいいですよ!」
「分かりました。玲さんの店に行く時に渡すか…麻美さんに預かってもらうか考えますよ!」
玲は、
「麻美さんに、預けてくれるなら私自身も貰いに行きやすいからね。麻美さんには、何枚渡すの?」木嶋に聞いたのだ。
木嶋は、
「麻美さんには、同じ枚数を渡します。玲さんが多くて、麻美さんが少ないのはマズイと思いますが…」木嶋は、玲に伝えたのだ。
玲は、
「そうだよね。二人が枚数違うのは良くないからね!残りはどうするの?可愛い…はるかさんに、全部渡してしまうの?」木嶋の話しに理解を示しながらも気になるようで聞いていたのだ。
木嶋は、
「全部は渡しません!自分も観たい映画もあるので…期間も半年間とスパンがあるからね!」玲に話したのだ。
玲は、
「半年間も期間があるなら大丈夫だよね!その間には、長期連休もあるよね。もし、期間が終わり近くでチケットが余るなら私に下さい。」木嶋にお願いをしたのだ。
木嶋は、
「いいですよ!」玲に話しながら電話を切ったのだ!
「みんな映画が好きなんだな!」
木嶋は、ボヤきながら家に向かい歩いていた。