第689話
木嶋は、ただ頷くだけであった。
「ヤバイ•••段々(だんだん)と眠たくなってきた。かれんさん、先に寝てもいいかな?」かれんさんに問いかけていた。
かれんさんは、
「いいですよ!私は、まだ•••やることがあるので、それが終わったら、木嶋さんの元に行きますよ。」木嶋に伝えた。
木嶋は、
「悪いけど、ベッドで横になっているよ!」かれんさんに話し、《ソファー》から立ち上がり、ベッドに向かった。
布団を掛け、木嶋は•••眠りについた。
かれんさんは、
「木嶋さんがいる目の前で、勉強をしていたら心配を掛けてしまう。少しでも、先に行かないと、みんなから•••遅れてしまう。」一人で勉強を始めた。
時計の針は、午前2時になろうとしていた。
かれんさんは、そっと•••部屋のドアを開けた。
「木嶋さん、疲れたのかな?《スースー》と寝息を立てていますね!私も、少ししたら•••ベッドに行きますからね!」小声で呟いていた。
木嶋の身体が、一瞬•••反応したように思えたのだ。
まだ•••夢の中にいた。
楽しそうな表情を浮かべていた。
「木嶋さん、何を夢の中で見ているのかな?きっと•••素晴らしいことなのかな?私のことかな?それなら、嬉しいな!明日、目が覚めたら•••どんな夢物語なのか、聞いてみましょう!」かれんさんは、呟きながら、そっと•••部屋のドアを閉めたのである。
リモコンで、テレビを点けた。
年末年始なので、どのテレビ局も、朝方まで放送している。
「勉強もいいけど、息抜きも、大切。」
かれんさんは、
【フー】と息を吐いた。
木嶋が、目を覚ました。
「あれっ•••かれんさん、まだ•••ベッドに来ていないんだ。何をしているのかな?」
そっと•••部屋のドアを開けた。
かれんさんが、テレビを点けながら、《ソファー》で寝ていた。
「こんなところで寝ていたら、風邪をひいてしまう。ベッドに連れて行こう。」
木嶋は、部屋のドアを開けた。
かれんさんを、お姫様抱っこをして、ベッドに連れて行った。
「木嶋さん、私の側に、ずっと•••いて下さい。」寝言を言っていた。
木嶋は、心の中で•••
「ありがとうございます。」かれんさんに感謝していた。
部屋のドアを、かれんさんに悟られないように、ゆっくりと•••閉めたのである。
テレビを消し、再び、かれんさんの待つ部屋に戻ったのだ。
そっと、隣りに入った。
木嶋は、かれんさんの髪を撫でながら、
「本音を言えば、かれんさんを自分のお嫁さんにしたい。ただ、今は•••はるかさんがいるから、こんな形でしか答えることが出来なくて、ごめんね!」謝ることしか出来なかった。
かれんさんは、
「気にしなくていいですよ。」
まるで、木嶋の会話を聞いていたかのように、返事をしたのだ。
木嶋は、
「かれんさん、起きていたの?」かれんさんに尋ねていた。
かれんさんは、
「木嶋さんが、私をベッドに連れてきて、部屋を出たときに、目を覚ましました。戻ってきたときに、寝ているフリをしていたのです。木嶋さんの呟き、聞いていましたよ。」木嶋に伝えた。
木嶋は、
「そうだったの?それなら、起きていても良かったのに•••。話したことは、本音だよ。かれんさん、一緒に寝ようか?」かれんさんに同意を求めた。
かれんさんは、
「うん!」笑顔で、木嶋に応えていた。
木嶋は、【ベッド】に入り、一緒に眠りに就いたのであった。