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第68話

富高さんの元を離れた木嶋は、大森さんのいる場所まで歩いて行った。

木嶋は、

「大森さん、先週の金曜日に小室さんと富高さんを、クラブ『H』に連れて行ったんだ。」大森さんに伝えた。

大森さんは、

「皆さん、クラブとかスナックに飲みに行くの好きだよね…。」半ば諦めに近い話し方を、木嶋にしていた。

木嶋は、困惑した表情を出していた。

「たまには、そう行った店で弾けないと、日頃からの仕事のストレスを解放するのは出来ないよ。」大森さんに尋ねていた。

大森さんは、

「仕事のストレスを溜めるのは、良くないことだよ!自分みたいに、神経性胃炎になったら、シャレにならないよ!」木嶋に問いかけたのだ。

木嶋も、胃腸が良くないので、考え過ぎたりすると、急性胃腸炎になり、心身のバランスが崩れてしまうのだ。

小室さんや溝越さんたちは、木嶋自身、胃腸が弱い話しをしていなかったのだ。

何故なら…そんな話しをしても、軽く聞き流されてしまうと考えていたのだった。

木嶋は、大森さんと、付き合い始めてから12年になる。最初から繊細な人と思ったのではなかった。

性格的に、繊細な人と感じ始めたのは、10年ぐらい前であった。

大森さんは、会社には、中途採用で入社してきて、木嶋より学年が、一学年違いだけなのだった。

お互いの趣味は違うが、大森さんの仕事は、木嶋たちが生産しているラインのサポート作業なので、いつも身近にいるのだった。

木嶋から見れば、同じ年代だからこそ、話しが合うと感じていたのだ。

小室さんが大森さんのことを知るようになったのも、木嶋が、絡んでいたのだった。

お互い、警戒心が非常に強く、ビール愛好家で、大森さんは、投げ釣りが趣味なので、小室さんや木嶋に良く話していたのだった。

大森さんは、酔いが廻ると冗舌になって行く。

木嶋は、小室さんと大森さんのスケジュール調整をするが、中々、噛み合わないのが現実であった。

そうした中で、先週の金曜日に大森さんと小室さん、富高さんと飲みに行けたのは、木嶋には、大きな収穫であった。

大森さんと富高さんも、共通するのが、釣りである。

富高さん自身も、時間があれば、地元、千葉県船橋市近郊で、一人で出掛け釣り糸を垂らしているのである。

木嶋は、両親の故郷ふるさとで、釣りにチャレンジしたが飽きが来てしまい、釣りは向いていないのである。

性格的に、同じ場所に留まるのが嫌いである。待つにしても、動いているなら問題はないが、渋滞しているとイライラしてくるのである。

木嶋と富高さん、大森さんも、共通の趣味がないように感じられるが、一つあるのである。

同じ刑事ドラマを良く見ていた世代である。

その刑事ドラマとは、テレビ朝日系列で放映されていた《西部警察》シリーズである。

小室さんも、この刑事ドラマの中で、出演もしているが、エンディングを歌っている俳優、石原裕次郎のファンであったのだ。

最初は、みんなが牽制けんせいしていたが、木嶋が、事前にリサーチをしていたので、《西部警察》シリーズから話しをしたら、全員が打ち溶けていったのであった。

これが、木嶋、小室さん、富高さん、大森さんの接点であったのだ。

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