第668話
木嶋たちは、《展望デッキ》のある…4Fに到着した。
エレベーターのドアが開いた。
父親の《車椅子》を押しながら…
「まだ、この中は…暖かいね!」木嶋は、父親に話していた。
父親は、
「うん。《展望デッキ》のドアを開けたら、風が、《ビュー、ビュー》吹いていて、寒さが身に染みるのではないか?」木嶋に伝えた。
木嶋は、
「そうだね!お母さんたちは、寒くないのかな?」お姉ちゃんたちのことを、気に掛けていた。
《展望デッキ》前のドアを開けた。
「やっぱり…寒いね。お父さんは、大丈夫なの?」父親も、木嶋と同じ体型である。
父親は、
「まだ、大丈夫だ。お母さんたちは、どこにいるんだろう?」お母さんのことが、心配であった。
木嶋は、
「チョット…待ってね!」父親に話し、お姉ちゃんに電話を掛けた。
「プッ、プッ、プルー…」
呼び出しているが…
お姉ちゃんの携帯は、常に…《マナーモード》になっているので、すぐに、留守電になってしまう。
木嶋は、【メッセージ】を入れずに、電話を切った。
連絡を待っていたかのように…
木嶋の携帯が…
「ピローン、ピローン、ピローン」鳴り出した。
木嶋が電話に出た。
「もしもし…」
「私、今…お父さんと、《展望デッキ》に着いたの?」お姉ちゃんが、木嶋に問いかけていた。
木嶋は、
「今…着いたよ!お姉ちゃんたちは、どこにいるの?暗闇で、分からないよ!」お姉ちゃんに、ボヤいていた。
お姉ちゃんは、
「お母さんと、《展望デッキ》の近くにある…《コーヒーショップ》にいるよ!」木嶋に伝えた。
木嶋は、
「そうなの?《コーヒーショップ》は、どこにあるの?」お姉ちゃんに聞いていた。
お姉ちゃんは、
「少し歩けば、明かりが見えると思うよ!そこに、お母さんと一緒にいるからね!」木嶋に答え、電話を切ったのである。
木嶋は、
「お父さん、お母さんたちは、《展望デッキ》近くの《コーヒーショップ》にいるみたいだよ!」お父さんに告げた。
お父さんは、
「この寒さだからね!長時間待つのは、厳しいよ!」木嶋に伝えた。
木嶋は、
「そうだよね!」と、頷いていた。
《車椅子》を押しながら…お姉ちゃんたちがいる…《コーヒーショップ》に入って行った。
周りを見渡すと、大勢のお客さんが、座っていた。
木嶋は、お母さんたちの姿を…探していた。
近くで、手を振っている…。
まさしく、お姉ちゃんの姿であった。
木嶋は、《車椅子》を押しながら…お姉ちゃんたちの元に向かった。
「お待たせしました。」木嶋は、母親に声を掛けた。
母親は、
「お母さんたち…《展望デッキ》に出たが、あまりの寒さに震えてしまい、お父さんたちが、来る少し前に、このお店に入ったんだ。」木嶋に告げた。
木嶋は、
「《展望デッキ》を見渡したが、人が…大勢いたよ。このお店も、混雑しているよね!」母親に話したのである。
お姉ちゃんは、
「ここで、温かい飲み物でも飲んでから、家に帰ろうか?」木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「お父さん、それでいいよね?」父親に同意を求めていた。
父親は、
「うん。」と、木嶋に答えたのであった。