第667話
お姉ちゃんは、《車椅子》の手続きを終えて、木嶋に預けた。
木嶋は、
「お父さん、早く…乗って!」父親に告げた。
父親は、ソファから立ち上がり…ゆっくりと《車椅子》まで歩き座った。
木嶋は、《車椅子》を押しながら、空港内のエレベーターに向かった。
最上階の展望デッキへ行くには、このエレベーターだけである。
羽田空港は、身近な《スポット》…である。
ここ数年は、羽田空港の【沖合い展開事業】で、以前よりも、大規模に、《生まれ変わって》いる。
その光景を、何度も見ているので…来る度に、新鮮な気持ちになっている。
エレベーターは、2基ある。
若い女性が、《ベビーカー》を押して、並んでいた。
はるかと、一緒にいると…《ベビーカー》を優先するように、いつも…言われている。
はるかは、小さな子どもを見かけると…嬉しそうな表情を見せる。
その表情を見たとき…
【はるかは、小さな子どもが好きなんだな!】と感じていた。
木嶋は、
「かれんさんは、どうなのだろう?」と、ふと…考えていた。
母親は、
「いつ来ても、空港の《展望デッキ》に行く人が多いね。」お姉ちゃんに呟いていた。
お姉ちゃんは、
「今は、年末年始で…出掛ける人ばかりだよ。急ぐことないからゆっくりと…上がって行けばいいよ!」母親を諭していた。
母親は、
「そうだね。お父さんを頼んだよ!」木嶋に告げた。
木嶋は、
「了解しました。お姉ちゃん、お母さんと、先に行って…どこの、《展望デッキエリア》にいるか?メールでもいいから、連絡してね。」お姉ちゃんに話していた。
お姉ちゃんは、
「分かりました。」木嶋に告げ、母親を連れて…エレベーターに乗った。
木嶋は、
「お父さん…次で、行こうね!」お父さんに伝えた。
お父さんは、
「うん。」と答え、エレベーターを待っていた。
先に、エレベーターで上がって行った…お姉ちゃんからの連絡を待っていた。
すると…木嶋の携帯が、
「プルッ、プルッ」と、バイブが響いていた。
携帯を、Gパンのポケットから出し、画面を確認した。
1通の新着メールが届いていた。
メールを見ると…お姉ちゃんからであった。
「今…右側にある《展望デッキ》に到着。着いたら、電話下さい。」木嶋は、メールを読み終え…
「了解しました。」お姉ちゃんに、返信メールを送信した。
「お父さん、お母さんたちは…《右側の展望デッキ》にいるって、メールが来たよ!」父親に伝えた。
父親は、
「《右側の展望デッキ》か…?お母さんたちは、座る場所があったのかな?」座る場所を、心配していた。
木嶋は、
「《展望デッキ》に行けば、判ると思うよ!」父親に答えたのである。
2.3日前に、雪が降っていたが、日蔭の雪解けが、進まずに残っていた。
「気温が低いと…凍って、足元が滑るから、気をつけないとね!」父親に話していた。
父親は、
「そうだね。ケガをしないように、気をつけないとね。」頷いたのであった。