第66話
JR横浜駅を出た木嶋、小室さん、富高さんは、東海道線の対面シートに座っていた。
小室さんは、
「木嶋、今日のクラブ『H』に行って良かったよ。お気に入りの、はるかちゃんに会ってみて、少し話したがいい女性じゃないのか?木嶋は、騙されやすいから気をつけて、接した方がいいぞ。」木嶋に話していた。
木嶋は、以前、三谷さんにも同じことを言われたことを思い出し気がついたのだ。先輩方は熟知していたのだった。
富高さんは、
「木嶋君に誘われない限り、クラブ『H』とかには飲みには行かないからね。たまには、こう言う店に来ないとダメだよね!」木嶋に伝えたのだ。
木嶋は、
「自分も、一人じゃ行きずらいね。麻美さんの店に行くのも、玲さんの店に行くのも、横浜駅から戻る感じになる。自分は、横浜駅で乗り換えるから、どうしてもクラブ『H』が行きやすい!いつも、小室さんや富高さんを無理矢理連れていって申し訳ありません。」小室さんと富高さんに謝罪をしたのだ。
小室さんは、
「その瞬間を、楽しめればいい。自分も、若いときに木嶋みたいに恋をしたり、今では、クラブは多いが前は、こんなになかったよ。」
木嶋は、
「小室さんにも、そんな時代があったの?以外と言えば以外。」小室さんに聞いたのだ。
「両手に華と言う諺があるが、モテたぞ…昔は…」木嶋に話したのだ。
「昔って、何年前ですか?」小室さんに尋ねたのだ。
小室さんは、
「何年前かな…今から25年前ぐらいかな?」木嶋に話したのだ。
木嶋は、
「25年も前なら随分、古い話しですよ。10年を一昔前と言いますが、二昔前ぐらいですよ!」
小室さんは、
「そんなに昔になるのか?」木嶋の言葉に納得したのだ。
小室さんは、酔っ払いながらも、毎日の習慣で、電車の中でビールを飲むのが日課になっていた。
この日は、会社の最寄り駅や横浜のクラブ『H』で飲んでいたので、ビールを買わないでいた。
富高さんは、飲み足りないらしく横浜駅の売店でビールを片手に話しをしていたのだった。
電車が間もなく、小室さんと木嶋の降りる駅に着こうとしていたのだ。
富高さんは、千葉の船橋まで帰るので、東京駅から乗り換えて行くか秋葉原駅で乗り換えるか、木嶋が、携帯で時間検索をしていた。
「富高さん、東京駅で乗り換えで行くなら乗り換え回数は、一回で済みます。秋葉原駅で乗り換えとなると、二回乗り換えになりますが、どうしますか?」木嶋は、富高さんに尋ねたのだ。
富高さんは、
「乗り換えの回数は、少ない方がいいね。着く時間は、どちらが早いのかな?」木嶋に問い掛けていた。
「着く時間は…どちらが早いかと言うと…東京駅で乗り換えた方が早いね。」富高さんに伝えたのだった。
富高さんは、
「東京駅で乗り換えて行きます。少しでも、早く家に帰りたい。待ち時間が長いと冬の寒さで、風邪やインフルエンザになったりすると大変。体調管理はしっかりしないとね。」木嶋に話したのだ。
木嶋と小室さんは、富高さんの答えに納得をしたのだった。
電車が、
「プシュー」とドアが開いた。
木嶋と小室さんは、電車から降りたのだ。
ドアが閉まり、富高さんと別れたのだ。
二人は、改札口に向かい、最寄り駅から出たのだ。木嶋は、歩きで家に帰って行く。小室さんは、タクシーで家路に向かって行ったのだ。
木嶋は、家に帰る途中で、一通のメールを受信した。送信者を見ると、はるかからであった。