第653話
木嶋は、お姉ちゃんの帰りを、今か?今か?と待っていた。
ふと、布団の近くにあった腕時計で、時間を確認した。
「午後11時30分か…。それにしても、遅いな!何をしているんだろう?」段々(だんだん)と、不安に駆られていた。
エレベーターのドアが開き、人が降りていた。
「カッ、カッ、」女性の歩く靴の音が聞こえていた。
夜遅くになると、周りが静かになるため、音が良く聞こえるのである。
玄関の鍵が開く。
「ただいま。」木嶋のお姉ちゃんが帰宅した。
「お帰りなさい。」木嶋が、お姉ちゃんに声を掛けた。
お姉ちゃんは、
「まだ、起きていたの?」木嶋が、寝ていたと思ったらしい。
木嶋は、
「自分は、明日から…会社は、《年末年始休み》だよ。父も、母も、帰りが遅いから、心配していたよ。」お姉ちゃんに伝えた。
お姉ちゃんは、
「父も、母も、心配をかけせてしまったね。ごめんね!同級生と話しが盛り上ってしまい、帰る《タイミング》を逃してしまった。」苦笑いを浮かべて答えていた。
木嶋は、
「それなら、メールでも入れてくれればいいのに!」少し不安になってことを話したのである。
お姉ちゃんは、
「私も、明日から…会社が、《年末年始休み》に入るからね。朝は、父も、母も、《ゆっくり》出来るね!」木嶋に伝えた。
木嶋は、
「父も、母も、そう話していたよ。お姉ちゃんの顔を見たから…自分は、寝るから、あと、よろしくね!」お姉ちゃんに伝え、電気を消し眠りについた。
翌日、木嶋は、布団から出てきた。
母親は、
「随分、早くに起きたね!」
木嶋は、掛け時計で時間を確認した。
「7時30分か…確かに、早くに起きたね!」母親に答えていた。
父親は、布団の中で新聞を読んでいる。
木嶋は、
「お姉ちゃんは、まだ…寝ているの?」母親に尋ねていた。
母親は、
「まだ、起きて来ないんだ。寝たのが、遅かったからね。」木嶋に伝えた。
木嶋は、
「お姉ちゃん、寝たのが、そんなに…遅かったの?」父親に声を掛けた。
父親は、
「夜中に、目を覚ましたときに、テレビを観ていたよ。聞いたら、《まだ、眠くならない。》と…《早く、寝なさい。》と話し、また寝たんだ。」木嶋に告げた。
木嶋は、
「これが、会社に出かけるなら…大変なことになっていたよ。お姉ちゃんは、自分が…大晦日の夜から、友達の家に出かけていないことを知っているの?」母親に問いかけていた。
母親は、
「まだ、伝えていないよ。日にちもあるからね。」木嶋に伝えた。
木嶋は、
「まだ、慌てることないしね。」母親に話していた。
母親は、
「それでも、そろそろ起こさないとね。」木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「8時になったら、起こせばいいよ。」母親に答えていた。
父親は、黙って《スポーツ新聞》を読んでいた。
木嶋は、
「お父さん、《スポーツ新聞》を自分に渡して下さい。」父親に声を掛けていた。
父親は、木嶋に…《スポーツ新聞》を手渡したのであった。