第652話
木嶋は、
「正直、年末年始は、家で《ゆっくり》したかったな!」一人でボヤいていた。
年末年始を、家族揃って…過ごさないのは、今回が初めてのことである。
木嶋が、20代のときに…青森出身の仲間がいて、会社の同僚と、元旦から、スキーを滑りに、出掛けたことはあるが、年末から…家を空けた記憶がなかった。
「あと…3日か!」
あと…3日と言うのは、木嶋が、かれんさんの家に行くことである。
ようやく家に到着。
木嶋は、母親に…
「年末年始は、友だちの家で過ごすよ!」母親に告げた。
母親は、
「年末年始を友だちの家で過ごすの?貴方にしては、珍しいね!」木嶋に伝えた。
木嶋は、
「そうだね!自分自身も、驚いているよ。」これが、本心である。
「大晦日の《年越し蕎麦》は、どうするの?」木嶋に問いかけていた。
木嶋は、
「毎年、食べているからね。どうしようかな?家を出る前に、《年越し蕎麦》を食べて行くよ!」母親に答えていた。
母親は、
「大晦日は、少し前から《年越し蕎麦》を作らないといけないね。」木嶋に話していた。
木嶋は、
「ごめんなさいね!」母親に謝ったのだ。
父親は、イヤホンをしながら…テレビドラマを観ていた。
「帰って来たのか?」父親が、木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「今、帰ってきたよ。」 父親に答えていた。
父親は、
「外は、寒いか?」
「寒いよ!今日は…家から出ていないの?」木嶋は、父親に尋ねていた。
父親は、
「今日は…家から、一歩も出ていないよ!」
「出ない方が、安心だよ。あれっ、お姉ちゃんは…。」木嶋は、父親に問いかけていた。
父親は、
「まだ、帰って来ないぞ。」木嶋に告げた。
木嶋は、
「まだ、帰っていないの?どこかに、出かけているのかな?」母親に聞いていた。
母親は、
「友だちの家に、行ったままなんだよ!」木嶋に答えていた。
木嶋は、
「友だちの家って…近くでしょう?」母親に告げた。
母親は、
「そうだよ。近くだから大丈夫だと思うよ。」少し、心配な表情を浮かべていた。
例え…近くでも、帰って来ないと、人は、不安になるものである。
「お姉ちゃん、明日から…仕事は、休みでしょう?」母親に尋ねていた。
母親は、
「明日から…仕事は、休みだよ!」
「自分も、明日から…仕事は、休みだよ。遅くなっても、いいんじゃないの?」木嶋は、母親に答えたのである。
母親は、
「次の日が、仕事じゃないから…気分的に楽だけど…!」まだ、納得が出来ない様子である。
木嶋は、
「鍵をもっているから大丈夫だよ。自分も、まだ…起きているよ。」母親を安心させたのである。
母親は、
「あとは、頼んだよ!」木嶋に伝え、布団に入ったのだ。
父親は、まだ…テレビを観ていた。
「お前は、まだ…起きているのか?」木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「まだ、起きているよ!もう、寝てもいいよ。」父親に声を掛けた。
父親は、
「じゃあ…寝るよ!」木嶋に答え、電気を消したのである。