第649話
木嶋は、勇ましく歩き出したのだ。
最寄り駅から、家までは、《ウォーミングアップ》するには、程よいのである。
「今日は、はるかと会わないで…真っ直ぐ、家に帰宅すれば、人身事故に遭わなかった可能性が高かったかも知れない。でも、仕方ない。どうしても、会いたいと誘惑に負けてしまい、待ち合わせをしたのだから…!」心の中で、葛藤が始まっていたのだ。
最寄り駅から、歩き出して中間点である。
1つの目印に、小さな《たばこ》店があった。
20世紀は、《たばこ》を購入するには、街角にある…対面販売店か?《たばこの自動販売機》しかなかったのである。
対面販売店の良さは、地域の人の交流の場でもあった。
他愛もない《世間話》をするのが、《日課》になっている人もいたのである。
時代と共に…移り変わって行く。
今…《たばこ》を購入するには、【コンビニ】や、【たばこの自動販売機】、または、【スーパー】で対応が出来るため、対面販売店を利用する人が少なくなってしまったのも事実である。
木嶋は、今の会社に就職する前に、《たばこ》の対面販売店も、【いいな!】と憧れを抱いていたこともあった。
最も、木嶋は、《たばこ》は、吸わないので、多種多様な銘柄を知らないのも、当然である。
《たばこ》店を通り過ぎたとき、木嶋の携帯が…
「ピローン、ピローン、ピローン」鳴り出していた。
「誰かな?」ふと、画面を覗くと、かれんさんからであった。
「もしもし、木嶋ですが…。」
「かれんです。木嶋さん、今…どちらですか?」かれんさんが、木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「今は、家に向かって帰宅中です。」かれんさんに答えていた。
かれんさんは、
「木嶋さん、今日は…はるかさんと、お話しをする時間を頂きありがとうございました。」木嶋にお礼を述べていた。
木嶋は、
「こちらこそ、かれんさんに…ありがとうございます。」かれんさんに告げたのである。
かれんさんは、
「はるかさん、私との女子会に来てくれますかね?」木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「う~ん…難しい質問だね。はるかさんと、話していた感触は、かれんさんと会ってみたいと言っていたよ!」かれんさんに伝えた。
かれんさんは、
「ありがとうございます。私…、身近に、年令が近い人がいないので、はるかさんと、仲良くなりたいです。」木嶋に、はるかとの仲を取り持つように、お願いをしたのである。
木嶋は、
「了解しました。かれんさんと、はるかさんが、上手く行くように…後方支援を致します。」かれんさんに伝えた。
かれんさんは、
「ありがとうございます。」木嶋に言葉を返したのであった。